昨年の全国の刑法犯の認知件数(暫定値)は前年より6.7%少ない138万2,154件となり、10年連続で減少したことが警察庁のまとめで9日わかった。過去最悪だった02年の約285万件の半分以下で、140万件を下回るのは32年ぶり。窃盗犯、殺人や強盗など凶悪犯の一部で減少傾向が続いている。
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※認知件数とは、警察など捜査機関によって犯罪の発生が認知された件数をいう。認知件数と実際の発生件数は一致しないことが多い。
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認知件数を未遂なども含めた罪種別に見ると、ひったくりや自転車盗、万引きなどの窃盗犯が104万464件と全体の7割強を占め、前年比で8.2%減少して全体の数を押し下げた。警察庁は「ひったくり防止のノウハウの浸透、自転車の鍵の機能向上など、民間も含めた防犯対策の効果が出ている」とみている。
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都道府県別のひったくりの認知件数は、大阪が前年比4.2%減の1687件で、2年連続のワースト。埼玉1,309件、千葉1,173件が続いた。前年に2番目に多かった東京は47.4%減の904件と大幅に減少した。
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殺人は1,030件で、前年から2.0%減少して戦後最少を更新。放火は5.0%減の1,033件、強盗は0.4%減の3,658件だった。
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一方で、強姦は4.6%増の1,240件、強制わいせつは5.7%増の7,263件、公然わいせつは12.9%増の2,976件と、性犯罪の増加が目に付いた。警察庁は「被害自体が増えたのか、申告する被害者が増えたのかの見極めも必要」としている。
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詐欺や横領などの知能犯は1.5%減の4万114件だった。
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検挙件数は43万7,674件で前年より5.4%減少したが、昨年1年間の検挙件数と認知件数の比率を示す検挙率は0.5ポイント増の31.7%。殺人や強盗などの重要犯罪に限った検挙率は1.8ポイント増の65.8%だった。
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