原子力規制委員会は31日、定例会合を開き、原発事故への対応を定めた原子力災害対策指針(防災指針)を策定した。住民の避難や屋内退避の備えを重点的に行う目安となる区域は、これまで原発の半径8~10キロ圏内だったが、30キロ圏内に拡大する。
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田中俊一委員長は「この指針に基づき、各自治体には防災計画を住民の立場で作っていただく。有効な計画を作れるかどうか、自治体との作業の中で見直しがあってもいい」と述べた。
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新たな防災指針の策定で、避難準備が必要な区域に含まれる自治体は、従来の15道府県45市町村から21道府県135市町村に増える。原発事故を想定した地域防災計画を策定する自治体も大幅に増加する見通し。
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ただ、今回の指針では、避難指示を発動する基準や甲状腺被ばくを防ぐヨウ素剤の配布などについて具体的に定めていない。避難基準や緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用法については年内に、ヨウ素剤配布の準備範囲などは来年3月までに順次まとめ、指針を拡充する。
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自治体の計画策定は来年3月が期限とされており、限られた時間で実効性のある備えができるかが問われる。
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規制委の助言などを基に、内閣府は自治体が防災計画を策定する上で参考になるマニュアルを作り、支援する方針。田中委員長はこれまで、地元で計画が策定されないまま原発を再稼働させるのは難しいとの認識を示している。
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