宮城県東松島市にある遺跡から見つかった縄文時代の複数の人骨が約3,500年前にあった津波で流されて亡くなった人たちのものである可能性が高いという研究結果がまとまった。津波被害の痕跡とされる人骨の出土は初めてで、分析にあたった研究者は「災害の履歴を明らかにして復興に生かしていきたい」と話している。
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人骨が見つかったのは宮城県東松島市の宮戸島にある「室浜貝塚」で、26日に発掘調査に当たった奥松島縄文村歴史資料館が記者会見した。
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資料館によると、2年前に行った発掘調査で見つかった9体の人骨について、放射性炭素を使った手法で年代を測定したところ約3,500年前の縄文時代後期のもので、この地域を襲った津波の痕跡とみられる地層と年代が一致したことが分かった。
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また、これらの人骨は、いずれも人為的に掘った穴ではなく、窪地にはまり込んだような状況で見つかったほか、手足の一部が欠けていたり、頭蓋骨だけ残っていたりして、埋葬されたとは考えにくいという。
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東日本大震災でもこの場所には津波が押し寄せたということで、資料館では、縄文時代に起きた津波で被害にあった人たちが流れ着いたものではないかと判断したとしている。
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津波被害の痕跡とされる人骨の出土は初めてだという。分析に当たった奥松島縄文村歴史資料館の菅原弘樹館長は「今までに発見例がないことなので、さらに慎重に分析する必要がある。地面に残された災害の履歴を明らかにして復興に生かしていきたい」と話していた。
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