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平成24年上半期の犯罪情勢-警察庁
~刑法犯認知件数は引き続き減少、検挙率は最高~

警察庁は2日、「平成24年上半期の犯罪情勢」を公表した。それによると、各年の上半期(1月~6月末)の刑法犯認知件数は、平成14 年をピークに平成15年以降連続して減少し、平成24年上半期にあっても前年同期に比べ減少した。また、認知件数、検挙件数ともに減少する中、検挙率は上昇し、この10年間で最高となった。
その他、昨年同期比で下記の特徴がみられた。
・ 金融機関強盗の減少
金融機関を対象とした強盗事件は、昨年上半期には、閉店後帰宅する職員を通用口で待ち伏せして店内に押し入り、金庫室まで案内させるなどの手口で1千万円を超える高額被害が相次いだため、防犯対策の強化を要請するなどの取組により、平成24年上半期は、同種手口の被害はなく、認知件数は18件と19件(51.4%)減少したほか、被害総額も約860万円と前年同期から約96%の減少となった。
・ 粗暴犯、風俗犯の増加
ほとんどの罪種や手口の認知件数が減少している中、暴行、傷害等の粗暴犯、強制わいせつ、公然わいせつ等の風俗犯がそれぞれ増加した。
このうち粗暴犯では、配偶者が被害者となる検挙件数が暴行では303件(43.2%)、傷害では335件(49.5%)増加していることから、これら配偶者被害の増加が認知件数増加の要因の一つとして考えられる。
◇刑法犯の認知・検挙状況の推移
刑法犯の認知件数は、平成14年まで7年連続して戦後最多を記録していたが、平成15年は前年に比べ2.2%減少し、以後、平成16年は8.1%、平成17年は11.5%、平成18年は9.6%、平成19年は6.9%、平成20年は4.8%、平成21年は6.3%、平成22年は6.9%、平成23年は6.6%と9年連続減少しており、平成24年上半期にあっても、前年同期に比べ4万5,843件(6.4%)減少している。
認知件数を前年同期と比較すると、減少件数が多いものとして、自転車盗、オートバイ盗、車上ねらい、占有離脱物横領、部品ねらい、器物損壊等、空き巣等がある。一方、増加件数の多いものとして、暴行、傷害、脅迫、強制わいせつ等がある。
検挙件数は、平成11年以降減少したのち、平成14 年以降は増加していたが、平成17年に再び減少に転じ、平成24年上半期にあっても、前年同期に比べ、4,869件(2.2%)減少している。その中でも、減少件数が多いものとして、占有離脱物横領、万引き、詐欺、空き巣等がある。一方、増加件数の多いものとして、事務所荒し、暴行、傷害等がある。
検挙人員は、平成13年以降増加していたが、平成17年に減少に転じ、平成24年上半期にあっても、前年同期に比べ、5,854人(4.0%)減少している。その中でも、減少人数が多いものとして、万引き、占有離脱物横領等がある。一方、増加人数の多いものとして、暴行、傷害等がある。
検挙率は、平成14年以降上昇していたが、平成20 年に低下し、以降、若干の上昇と低下を繰り返し、平成24年上半期においては32.8%と、前年同期に比べ1.5 ポイント上昇した。
◇刑法犯の包括罪種別認知・検挙状況の推移
刑法犯認知件数を包括罪種別にみると、前年同期に比べ、凶悪犯は69件(1.9%)、窃盗犯は4万3,219件(8.0%)、知能犯は15件(0.1%)それぞれ減少しているが、粗暴犯は2,685件(9.1%)、風俗犯は681件(14.3%)それぞれ増加した。
刑法犯認知件数全体に占める割合を包括罪種別にみると、凶悪犯は0.5%、粗暴犯は4.9%、窃盗犯は75.1%、知能犯は2.9%、風俗犯は0.8%、その他の刑法犯は15.8%となっている。
検挙件数は、前年同期に比べ、凶悪犯は12件(0.5%)、窃盗犯は2,908件(1.9%)、知能犯は1,454件(11.3%)それぞれ減少しているが、粗暴犯は1,752件(8.1%)、風俗犯は467件(16.1%)それぞれ増加している。
検挙人員は、前年同期に比べ、凶悪犯は22人(0.9%)、窃盗犯は5,278人(6.4%)それぞれ減少しているが、粗暴犯は1,578 人(6.8%)、知能犯は610人(10.1%)、風俗犯は255人(10.2%)それぞれ増加している。
◇刑法犯の被害状況の推移
刑法犯の死傷被害者数は、平成9年以降増加し、平成14年から平成16年までは4万8千人台で推移していたが、平成17年以降は減少している。平成24年上半期は1万6,407人で、前年同期に比べ、1,376人(9.2%)増加している。死傷被害者数の内訳をみると、死者は459人で、前年同期に比べ17人(3.6%)減少しているが、負傷者は1万5,948人で、前年同期に比べ1,393 人(9.6%)増加している
財産犯の被害額は、平成15 年以降は減少を続けていたが、平成23 年に若干増加し、平成24 年上半期は、約830 億700 万円で、前年同期に比べ約13 億6,400 万円(1.7%)
増加している。
被害の内訳をみると、現金の被害は約409 億9,300 万円で、前年同期に比べ約65 億1,000万円(18.9%)増加し、物品の被害は約420 億1,400 万円で、前年同期に比べ約51 億4,600 万円(10.9%)
減少している。
◇主な刑法犯の現況
1 重要犯罪
(1) 重要犯罪の認知・検挙状況
重要犯罪(殺人、強盗、放火、強姦の凶悪犯に略取誘拐・人身売買、強制わいせつを加えたものをいう。以下同じ。)の認知件数は、平成16年以降減少していたが、平成24 年上半期は、前年同期に比べ322 件(4.8%)増加している。検挙件数及び検挙人員は、平成16年以降減少していたが、平成24年上半期は、前年同期に比べ、検挙件数は240件(5.6%)、検挙人員は158人(4.7%)それぞれ増加している。また、検挙率は64.8%と、前年同期に比べ、0.5ポイント上昇している。
(2) 殺人事件の状況
殺人事件の認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は37件(6.8%)、検挙件数は42件(8.3%)、検挙人員は55人(11.7%)それぞれ減少している。また、検挙率は、前年同期に比べ、1.5ポイント低下している。 平成21年以降認知件数は減少傾向にあり、検挙件数、検挙人員も減少傾向にあるが、検挙率は90%台の高水準を維持している。
(3) 強盗事件の状況
強盗事件の認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は11件(0.6%)減少、検挙件数は28件(2.3%)、検挙人員は14人(1.2%)それぞれ増加している。また、検挙率は65.1%と、前年同期に比べ、1.8ポイント上昇している。平成22 年以降認知件数は減少傾向にあり、検挙率は概ね60パーセント台で推移している。犯罪供用物別では、刃物類を使用したものが632 件(33.3%)と最も多い。また、強盗に伴う身体犯の認知件数は、前年同期に比べ、29件(4.0%)減少している。
年齢別検挙人員の推移をみると、ほとんどの年齢で増減を繰り返しており、平成24年上半期は、前年同期に比べ、14歳~19 歳、50歳代、60 歳~64歳、65 歳以上がそれぞれ増加している。
◇金融機関・郵便局対象強盗事件
金融機関(注)・郵便局対象強盗事件の認知事件数は18件(うち郵便局対象は15件、83.3%)、検挙事件数は18件で、前年同期に比べ、認知事件数が18件(50.0%)、検挙事件数が12件(40.0%)それぞれ減少している。
認知した事件をみると、発生時間帯では、午前10時から午後0時までが9件(50.0%)と最も多い。また、強盗事件発生時における各被害店舗の防犯設備の設置及び活用の状況をみると、非常通報装置及び防犯カメラの活用率は高いものの、非常ベル及びカラーボールの活用率は低い。
注:金融機関とは、銀行、信用金庫・組合、商工中金、労働金庫、農(漁)業協同組合をいう。郵便局は金融機関であるが、これまでの発生状況等を鑑み、銀行、信用金庫等の金融機関とは区別し、本文では個別に記載している。
◇深夜におけるコンビニエンスストア・スーパーマーケット対象強盗事件
深夜におけるコンビニエンスストア・スーパーマーケット対象強盗事件(注)の認知事件数は273 件、検挙事件数は141件で、前年同期に比べ、認知事件数が34件(11.1%)、検挙事件数が43件(23.4%)それぞれ減少している。認知した事件をみると、発生時間帯では、午前3時から午前4時までが67件(24.5%)と最も多く、午前2時から午前5時までで全体の 63.0%を占めている。
また、強盗事件発生時における被害店舗の防犯設備の設置及び活用の状況をみると、防犯カメラの活用率は高いものの、非常ベル、カラーボール及び屋外赤色灯の活用率は低い。
注:「深夜におけるコンビニエンスストア・スーパーマーケット対象強盗事件」とは、午後10 時から午前7時までの間に、営
業しているコンビニエンスストアやスーパーマーケットの売上金等を目的として敢行された強盗事件をいう。
◇ぱちんこ景品買取所対象強盗事件
ぱちんこ景品買取所対象強盗事件の認知事件数は6件で、前年同期に比べ、2件(25.0%)減少している。認知した事件をみると、発生時間帯では、午後10 時から午前0時までが5件(83.3%)と最も多い。
◇カ タクシー対象強盗事件
タクシー対象強盗事件の認知事件数は53件で、前年同期に比べ、1件(1.9%)減少している。認知した事件をみると、発生時間帯では、午前0時から午前2時までが12件(22.6%)と最も多い。また、防犯仕切板の設置状況をみると、被害車両の79.2%が設置されている。
◇強盗の手口別認知・検挙状況
強盗の手口別認知状況は、前年同期に比べ、侵入強盗は111件(13.4%)減少しているが、非侵入強盗は100件(9.2%)増加している。手口別の検挙状況は、侵入強盗は、前年同期と比べ、検挙件数は22件(4.4%)、検挙人員は37人(8.3%)それぞれ減少しているが、検挙率は6.3ポイント上昇している。非侵入強盗は、前年同期と比べ、検挙件数は50 件(7.0%)、検挙人員は51人(6.9%)それぞれ増加しているが、検挙率は1.3 ポイント低下している。
(4) 放火事件の状況
放火事件の認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は61件(10.0%)、検挙件数は38件(7.8%)、検挙人員は5人(1.5%)それぞれ減少している。また、検挙率は81.9%で、前年同期に比べ、2.0 ポイント上昇している。平成19年以降の推移をみると、認知件数は減少しており、検挙率は60%台後半から70%台で推移していたが、平成23年は80%台に上昇している。
2 重要窃盗犯
(1) 重要窃盗犯の認知・検挙状況
平成10年以降急増していた重要窃盗犯(窃盗犯のうち、侵入盗、自動車盗、ひったくり及びすりをいう。以下同じ。)の認知件数は、平成15年から減少に転じ、平成24 年上半期にあっても、前年同期に比べ、9,619件(11.5%)減少している。
検挙件数及び検挙人員は、平成16年以降減少しており、平成24 年上半期は、前年同期に比べ、検挙件数は382件(1.0%)、検挙人員は395人(5.8%)それぞれ減少している。検挙率は53.6%で、前年同期に比べ、5.7 ポイント上昇している。
(2) 侵入窃盗
侵入窃盗の認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は6,484件(10.5%)、検挙人員は182人(3.7%)それぞれ減少しているが、検挙件数は263件(0.8%)増加している。うち住宅におけるものの認知件数及び検挙件数は、前年同期に比べ、認知件数は3,370件(9.9%)、検挙件数は1,317件(6.9%)それぞれ減少している。
また、来日外国人の検挙人員は、前年同期に比べ、16人(15.8%)減少しており、検挙率は58.1%で前年同期に比べ、6.5 ポイント上昇している。
年齢別の検挙人員を見ると、ほとんどの年齢で減少傾向にあるところ、60~64 歳及び65 歳以上は増加傾向にある。平成24年上半期は、65 歳以上のみ増加している。
侵入口・侵入手段を発生場所別にみると、侵入口は、一戸建住宅、4階建以上の共同住宅及び3階建以下の共同住宅は窓、一般事務所、商店及び生活環境営業は表出入口が最も多い。
また、侵入手段は、一戸建住宅、4階建以上の共同住宅及び3階建以下の共同住宅は無締りが最も多いが、一般事務所、商店及び生活環境営業はガラス破りが最も多い。
ピッキング用具を使用した侵入窃盗の認知件数は、前年同期に比べ、47件(60.3%)減少している。ドリルを使用したサムターン回しによる侵入窃盗(ドリル等で出入口ドアに穴を開けた上、サムターン回しで開錠する手口) の認知件数は、前年同期に比べ、14件(20.0%)減少している。
(3) 自動車盗
自動車盗の認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は1,705件(13.6%)、検挙件数は179件(4.1%)、検挙人員は79人(8.4%)それぞれ減少している。また、検挙人員に占める少年の割合は、検挙人員全体の26.7%と、前年同期に比べ1.4ポイント低下しており、検挙率は38.5%で、前年同期に比べ3.8 ポイント上昇している。
認知した事件をみると、被害時にエンジンキー(イグニッションキー)がメーンスイッチ(イグニッションスイッチ)に差し込まれていたか、運転席又はその周辺に放置されていた状態で盗まれているものの割合は全体の26.0%で、前年同期に比べ0.5 ポイント上昇している。
また、被害額別の認知件数では、200万円未満が 1,422 件(15.7%)、200万円以上300 万円未満が141件(9.3%)、300万円以上が49 件(3.7%)それぞれ減少している。
さらに、被害自動車の還付率は25.9%で、前年同期に比べ1.6 ポイント上昇している。
(4) ひったくり
ひったくりの認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は1,541件(23.5%)、検挙件数は452件(14.8%)、検挙人員は103人(20.3%)それぞれ減少している。また、検挙人員に占める少年の割合は、検挙人員全体の40.8%と、前年同期に比べ9.5ポイント低下しており、検挙率は52.0%で、前年同期に比べ5.4 ポイント上昇している。
認知した事件をみると、発生時間帯は午後8時から午後10 時、被害者は60 歳以上の女性が最も多い。
3 重要窃盗犯以外の窃盗犯の状況
(1) 組織窃盗事件の状況
各都道府県警察が認定した組織窃盗事件(注1)は6件である。警察庁登録組織窃盗事件(注2)として登録したものはない。これまでの警察庁登録組織窃盗事件の検挙事例をみると、窃盗組織は、いずれも来日外国人や暴力団組員等を主要なメンバーとして、数十人単位の多数の者で構成され、首魁の指揮の下、実行犯を入れ替えながら、連続して広域にわたる侵入盗や自動車盗等を敢行するとともに、実行犯以外のメンバーが、窃取した預貯金通帳を用いて不正に現金を引き下ろしたり、窃取した自動車を解体したり車台番号等を改ざんして不正に輸出するなどしている。
注1:「組織窃盗事件」とは、多数の被疑者が、首魁による指揮統制の下に、下見、窃取、盗品の運搬、処分などの各行為を分担又は共同して行う窃盗犯罪をいう。
注2:平成9年10 月、警察庁では、組織窃盗事件登録要領を制定し、各都道府県警察が認定した組織窃盗事件のうち、特に重要な事件を「警察庁登録組織窃盗事件」として、全国警察に情報提供を求めるなど、組織の壊滅を主眼とする捜査を推進している。
(2) 車上ねらい
車上ねらいの認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は4,325件(7.7%)、検挙人員は85人(8.1%)それぞれ減少しているが、検挙件数は266件(2.3%)増加している。また、検挙人員に占める少年の割合は、検挙人員全体の18.9%と、前年同期に比べ4.0ポイント低下しており、検挙率は23.1%で、前年同期に比べ2.3 ポイント上昇している。
認知した事件をみると、被害時の状況は施錠なしで被害に遭っているものの割合は全体の38.6%で、前年同期に比べ0.6 ポイント低下している。検挙した事件をみると、被疑者の年齢別では40歳代の増加率が最も高くなっている。
(3) 部品ねらい
部品ねらいの認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は2,701件(9.4%)、検挙件数は368件(9.2%)、検挙人員は89人(15.1%)それぞれ減少している。また、検挙人員に占める少年の割合は、検挙人員全体の59.2%と、前年同期に比べ2.5ポイント上昇しており、検挙率は14.0%で、前年同期に比べ0.1 ポイント上昇している。検挙した事件をみると、被疑者の年齢別では65 歳以上が増加、40 歳代が横ばいである以外は、全ての年代において減少している。
(4) 万引き
万引きの認知件数、検挙件数及び検挙人員は、前年同期に比べ、認知件数は1,929件(2.7%)、検挙件数は2,882件(5.4%)、検挙人員は3,722人(7.2%)それぞれ減少している。また、検挙人員に占める少年の割合は、検挙人員全体の20.8%と、前年同期に比べ5.0ポイント低下しており、検挙率は72.8%で、前年同期に比べ2.1 ポイント低下している。検挙した事件をみると、被疑者の年齢別では、65歳以上の増加率が最も高くなっている。


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