中国では日本政府による沖縄県の尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモが、16日も60を超える都市で行われ、一部の都市では建物のガラスや日本車を壊すなど暴徒化している。
|
中国の反日デモは、16日は、少なくとも66の都市で行われている。このうち、南部の広東省・広州では、日本総領事館の入っている施設の前で午前中から数千人のデモ隊が集まり、日本時間の午後1時頃、一部が警察の制止を振り切って施設の中になだれ込んた。
|
この施設はホテル棟とオフィス棟に分かれていて、デモ隊はホテル棟の1階のロビーや2階の日本食レストランでガラスを割るなどした。また、施設の前を通りかかった日本車1台が窓ガラスを割られる被害もあった。オフィス棟に入っている日本総領事館には今のところ被害はない。
|
北京の日本大使館の前では、1,000人規模のデモが行われ、一部がペットボトルを大使館に向かって投げるなどした。大使館の周辺は、数百人の一般の警察官に加えて武装した警察官も1,000人以上が配置されるなど15日よりも厳しい警備態勢が敷かれている。
|
内陸部の四川省・成都でも市の中心部で数百人がデモを行い、デモ隊の一部が警察官と小競り合いになる場面もあった。成都にある日系のスーパーなどは、16日は臨時休業の措置をとっている。
|
さらに、上海でも反日デモが行われているほか、中国のインターネットへの書き込みなどによると、東北部の遼寧省の撫順や南部の海南省の海口など、15日デモが行われなかった都市にも広がっている。
|
日本大使館によると、日本人が被害を受けたという情報は入っていないというが、大使館は中国に滞在している日本人に注意を呼びかけている。 一方、中国の16日朝の新聞は、15日各地で起きた反日デモについて写真付きで伝えているが、参加者の一部が暴徒化したことについては触れていない。中には、「秩序的に行われた」と伝える新聞もあり、混乱の広がりを懸念していることがうかがえる。
|
中国での反日デモで現地の工場の建物に被害が出た大手電機メーカーの「パナソニック」は、新たに中国南部の珠海にある工場で一部の従業員が抗議行動を行っているとして、18日まで工場を閉鎖することを決めた。
|
中国での反日デモで一部が暴徒化した影響で、「パナソニック」では山東省の青島と、江蘇省の蘇州にある2つの工場の建物や設備が破壊された。「パナソニック」によると、詳しい被害状況はまだ把握できておらず、生産再開のメドは立っていないという。
|