17年前の1995年7月30日夜、東京・八王子市のスーパー「ナンペイ」で高校生2人を含む女性3人が拳銃で撃たれて殺害された事件で、警視庁は覚醒剤を密輸しようとした罪で中国で死刑が執行された日本人の男の話からカナダに住む中国人の男(41)が実行犯を知っている可能性があるとみてカナダ政府に対し身柄の引き渡しを求めていた。
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この男について警視庁は、他人名義のパスポートで日本から中国に出国した旅券法違反の疑いで男の逮捕状を取ったが日本とカナダの間に犯罪人引き渡し条約はなく、トロントの裁判所でカナダの国内法に基づき引き渡しを認めるかどうかの審理が続いていた。
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そして現地時間の午前10時30分(日本時間午後11時30分)頃に、裁判所は男について「旅券法違反の容疑がかけられている本人との証拠がある」と言い渡した。同時に30日以内に控訴する権利があることを伝えた。
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引き渡しを認める決定について、男の弁護士は決定を不服として近く控訴する方針を明らかにしたうえで、「日本の捜査当局は、強盗殺人事件について聴取するために身柄の引き渡しの手続きを乱用している。本来ならカナダで任意の聴取を行うべきだ」と述べた。
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男が事件についてどこまで知っているかは不透明だが、身柄引き渡しで男の証言が得られれば、難航する捜査の突破口になる可能性もあると期待されている。
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<八王子スーパー3人強殺事件> 1995年7月30日午後9時過ぎ、東京・八王子市のスーパー「ナンペイ」の2階事務所で、いずれもアルバイトの16歳と17歳の女子高校生2人と従業員の45歳の女性が拳銃で撃たれて殺害された。2人の女子高校生は手を縛られたうえ口を粘着テープでふさがれ、3人はいずれも至近距離から頭を撃たれていた。
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事務所にあった金庫には売上金など約500万円が入っていて、金庫の鍵穴の近くには発砲した跡があったが、現金は奪われていなかった。警視庁は強盗殺人事件として捜査しているが、事件の解決には至っていない。一昨年には時効が撤廃され、現在も捜査が続いている。
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