警察庁と国家公安委員会は24日の閣議に、「2012年版警察白書」を報告し決定された。それによると、全国の女性警察官が4月現在で1万7,686人に達し、全警察官の6.8%を占め、いずれも過去最多を更新したことがわかった。警察官の質の確保や組織の活性化を目的に、02年以降は毎年1,000人を超える女性警察官が採用されており、警察庁は今後も女性の採用の拡大に取り組むという。
|
警察庁によると、02年の女性警察官は9,390人で、全警察官の4%だった。その後増え続け、今年までに2倍近くになった。都道府県警で採用され、警部以上の階級にある女性警察官は224人。うち35人が警視で、北海道警では女性の警視が警察署長のポストに、愛知県警では子ども女性安全対策課・上席管理官、広島県警では警察学校学生指導官に就いている。
|
配属先は、02年当時は交通部門が29.2%で最も多かったが、交番の仮眠室など施設の整備が進んだことを背景に、現在は地域部門が最多で26.7%を占めている。子育て支援の環境づくりも進み、警視庁は子育て経験のある職員の妻を「保育ママ」として登録し、職員の子供を預かってもらう制度を95年に導入。現在36人が登録され、8人が利用しているという。
|
また、12年版警察白書は「大規模災害と警察」と題する特集を組み、東日本大震災に対応した警察活動を検証した。東電・福島第1原発周辺での避難誘導に関しては「避難指示の伝達や要援護者の実態把握に時間を要した」と指摘。原発事故対応の課題として挙げた。さらに警察庁に「特殊警備対策官」を設置して原子力関係機関との連携を強化したほか、放射線の測定装置や防護車両の整備などを進めるとしている。
|
遺体の身元確認の進捗状況については阪神大震災と比較。阪神大震災の場合、身元確認が終わった遺体の比率が、地震発生の3日後で97.8%に達し、10日後99.3%、半年後99.%。これに対し東日本大震災は3日後42.3%、10日後47.5%、半年後93%だった。白書は、阪神大震災は倒壊家屋の下敷きになるケースが多かった一方、東日本大震災は津波被害の甚大さが身元確認に大きく影響したと分析。親子間のDNA型鑑定を身元確認に活用したとしている。
|
警察白書はまた、東日本大震災での警察の活動を検証し、日ごろから関係機関と密接に連携して津波から住民を守る活動を継続的に行うなど、大規模な災害が再び起きた場合に備えて体制を強化することの重要性を強調している。東日本大震災での対応では、全国の応援部隊や地元の警察が一体となって住民の避難誘導や救助、捜索にあたった結果、約3,750人を救出したとしている。
|
その一方で、震災の犠牲者の約90%が水死だったことから、津波からの避難誘導をいかに早く行うかが大きな課題となり、このため沿岸地域のある警察では、お年寄りの世帯などを日ごろから個別に訪問して避難経路の確認などを繰り返し行ったり、地元のラジオ局と連携して、災害時の被害状況や交通規制の情報などをすぐに発信したりする取り組みを進めているとしている。
|
また、今後の大規模災害での警察の活動について、発生直後の救助活動に加えて遺体の検視や身元の確認を行う部隊を強化するなど、被災地で長期間活動にあたれるよう、改善を進めることの重要性を強調している。
|