政府の犯罪対策閣僚会議(犯対閣)は20日、刑務所出所者や少年院出院者のうち2年以内に再び入所・入院した人の割合(2年以内再入率)を今後10年間で2割以上減らすことを掲げた「再犯防止に向けた総合対策」を策定した。再犯防止施策で数値目標を設けたのは初めて。
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犯対閣は03年に「世界一安全な国、日本の復活」を目指して設置された。メンバーは全閣僚で、関係省庁が連携し対策を講じる。
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法務省によると、2年以内再入率は平成以降、出所者が19~25%、出院者は10~13%の範囲で推移。今回は、過去5年間(06~10年)の平均値(刑務所20%、少年院11%)を21年までに2割以上減らし、刑務所は16%以下、少年院は8.8%以下を目指す。
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再犯の実態を示す指標としては、再犯者が検挙者全体に占める割合を示す「再犯者率」や、刑務所入所者のうち初入者以外の割合を示す「再入者率」もあるが、今回は「刑務所や少年院を出た人に再び犯罪や非行をさせない施策の効果が分かりやすい」(法務省)として再入率を選んだ。
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目標を達成するための重点施策には▽犯罪特性に応じた指導や支援の強化▽出所者らの居場所・出番作り▽再犯の実態調査と対策の効果分析の促進▽国民の理解に支えられた社会復帰の実現、の4項目を掲げた。
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▽犯罪特性に応じた指導や支援の強化では、①若者や初めて刑務所に入る人、②高齢・障害者、③女性、④薬物依存者、⑤性犯罪者、⑥暴力団関係者、に区分して効果的な処遇などを検討する。
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▽出所者らの居場所・出番作りでは、出所者の住居や就労先の確保を促進し、保護観察終了者やそもそも保護観察の対象とならない満期釈放者の支援も充実させる。
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▽再犯の実態調査と対策の効果分析の促進では、再犯調査・分析を詳細化し、再犯していない人の更生要因の研究も実施する。
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▽国民の理解に支えられた社会復帰の実現では、刑事司法に関する法教育を展開し、国民が参加する更生支援メニューの多様化も図る。
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中間となる5年後には目標数値や施策の見直しを行う。
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