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自殺者が昨年3万651人、前年より減少も14年連続3万人超 |
内閣府と警察庁は9日、昨年の自殺の概要を公表した。自殺者は前年比3.3%減の3万651人(確定値)で、08年から14年連続で3万人を超えた。月別では5月が3,375人で前年比593人(約21.3%)増だった。岩手、宮城、福島の被災各県ではいずれも自殺者数が前年を下回ったが、内閣府は5月の自殺者数の増加を「東日本大震災の影響が表れたのでは」と分析している。
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年齢別では60歳代が5,547人で最も多く18.1%。次いで50歳代(5,375人)、40歳代(5,053人)の順。職業別では無職が1万8,074人(前年比3.2%減)で6割近くを占めた。自営業・家事従業者、被用者・勤め人は前年比で減少したが、学生・生徒らは1,029人で10.9%の大幅増となった。統計を取り始めた1978年以降、初めて1,000人を超えた。
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「学生・生徒」は、大学生529人(前年比16人増)と高校生269人(同65人増)で8割弱を占めた。年代別でも19歳以下622人(同12.7%増)、20歳代3,304人(同2%増)でいずれも増えた。動機は「学業不振」(140人)や「進路の悩み」(136人)が多かった。
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遺書などから原因・動機(複数計上)が判明したのは2万2,581人で、「健康問題」が最も多く1万4,621人(前年比7.5%減)。「経済・生活問題」がこれに次ぐ6,406人で13.9%の大幅減。逆に「家庭問題」が4,547人(同1.1%増)、「学校問題」が429人(同15.6%増)と増えた。
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自殺者数は例年、企業が決算期を迎える3月にピークを迎える傾向にあるが、昨年は3月まで低めに推移し、4~6月と8月に前年の自殺者数を上回った。都道府県別では被災各県は前年を下回ったが東京、愛知、福岡各県など13都県で増加した。
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内閣府は経済動向も分析し、4、5月は企業倒産件数の増加などがみられたうえ、同時期に「30代」「経済・生活問題が動機」などの層が大幅に増加したことがわかった。担当者は「震災を契機に経済リスクが広がり、特定の層に影響した可能性がある」との見方を示している。
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