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「高知県学校・警察連絡制度」10月1日から施行

高知県内の県立学校と高知県警が非行少年らの情報を共有する新たな「県学校・警察連絡制度」が10月1日、施行された。新制度では少年が逮捕される重大事件だけでなく、深夜はいかいや喫煙などの非行や不良行為でも、児童生徒の実名を警察が学校に伝える。早い段階での指導に効果が期待される一方、運用次第では子どもたちに不利になると心配する声も上がっている。この新制度は、県教育委員会と県公安委員会が1月の意見交換会で立ち上げに合意。8月に協定を結んだ。
1日付で施行対象となるのは、県立高校37校(分校含む)と特別支援学校13校の計50校。高知市立学校は11月から、県内全域の小中学校や私立学校でも順次導入される。
新制度では、学校と警察の連携が強化される。02年に始まった旧制度は、逮捕事件や飲酒運転など重大な事件を起こした少年に限り、警察が学校に個人情報を伝えてきた。新制度では逮捕されていなくても万引きなどの事件を起こした場合や、喫煙や深夜はいかいなどの不良行為も対象。
県警少年課によると、1984年に県立高校に無届けでミニバイクの免許を取って無期停学処分を受けた生徒側が起こした損害賠償訴訟をきっかけに、警察側が学校への個人情報提供を見直すことにした。非行や不良行為は実名を通報せず、月に1回、補導された児童生徒の人数だけを学校に伝えてきた。
しかし、全国で刑法犯少年の検挙数が減少傾向にある中、県内では10年は1,039人と前年比で84人増加。全刑法犯の検挙数に占める少年の割合も08年から3年連続で全国1位で、10年は45.1%を占めた。学校現場でも、重大な事件を起こす前に、喫煙など非行の段階で事実を把握し、指導したいという声が上がっていた。
新制度では、事件の被害者になった子どもについても、保護者が同意すれば警察が学校に実名を伝える。学校側はスクールカウンセラーらがフォローしやすくなると期待を寄せる。
一方、制度の運用を危ぶむ声もある。生徒指導や少年問題に詳しい人は「中学生が進学に不利になったり、高校生が退学を迫られたり、人権侵害が起きてしまう」と危惧している。「非行少年かどうかを判断するのは家庭裁判所の役目。家裁にはケースワーク機能もあり、新制度は司法の役割を無視している」と導入に疑問の声もある。県警少年課は「情報を罰に使うのではなく指導に役立てて欲しい」としている。


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