政府は11日午前、原発の安全性確認に関する統一見解を発表した。定期検査で運転停止中の原発については設計上の想定を超える地震や津波などにどの程度耐えられるかを比較的短期間で確認する「1次評価」で再稼働の可否を判断。そのうえで運転中も含むすべての原発を対象に、新たな基準に基づき「2次評価」によって運転を継続するかを判断する2段階方式とした。
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統一見解は枝野幸男官房長官と海江田万里経済産業相、細野豪志原発事故担当相の連名で、枝野氏が11日午前の記者会見で発表した。菅首相が運転停止中の原発を再稼働させる条件としてストレステスト(耐性試験)の実施を指示したことには政府・与党内に異論もあったが、統一見解は「欧州諸国で導入されたストレステストを参考に、新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施する」として再稼働前の1次評価実施を明記した。
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再稼働の検査はこれまで経済産業省原子力安全・保安院が行ってきたが、首相は内閣府の原子力安全委員会も関与するよう指示。新たな安全性の確認作業は(1)安全委員会も関与して保安院が評価項目・評価実施計画を作成、(2)電力事業者が安全評価を実施、(3)その結果を保安院と安全委員会がダブルチェック-という手順で行う。
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運転停止中の原発については暫定的な安全基準を作成し、基準をクリアした原発から再稼働できるようにすることで電力供給の確保を図る。稼働中の原発に対しては、欧州連合(EU)が6月から導入したストレステストや東電・福島第1原発の事故調査・検証委員会の状況を踏まえた安全基準を改めて作成する。
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枝野氏は会見で、1次評価の基準について「週単位ではなく日単位で判断する」と述べ、早ければ週内にも作成するとの見通しを示した。一方で、評価の開始・終了時期のメドについては「できるだけ早いことが望ましいが、第三者機関である安全委員会に『いつまでに結論を出せ』と言ったのでは、1次評価をやる意味がなくなる」と明言を避けた。
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民主党執行部は首相の退陣時期を8月末と想定しており、それを前提にすれば事実上、首相在任中の再稼働は難しいとの見方も出ている。
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