政府は14日午前の閣議で、平成23年版の「防災白書」を決定した。東日本大震災を「未曾有の大災害」と位置付けて特集し、地震や津波などによる被害の概要や被災地の復興、防災対策への提言などを盛り込んでいる。
|
白書は東日本大震災について、観測史上最大のマグニチュード(M)9.0の巨大地震と、それに伴う大津波が甚大で広範な被害をもたらし、人的被害が戦後最大の大災害となったと記載している。全約300ページのうち約80ページにわたって大震災を取り上げ、「単一の災害としては過去最大の情報量」(内閣府)を収録した。
|
その上で、5月末時点の各種データを通して死者約1万5,000人のうち90%以上の死因が溺死で、死者の約65%が60歳以上だったことなど、被災状況の実態を浮き彫りにした。
|
また、今後の防災対策に向けて、被害想定の見直しや津波対策の充実、東海・東南海・南海の三連動地震や首都直下地震への取り組み強化、国際防災協力のさらなる推進などを提言している。とくに避難所における生活環境の確保や生活支援、高齢者や障害者など要援護者に配慮した災害情報の適切な伝達など、被災者支援の重要性を指摘している。
|
一方、東電・福島第1原発事故については、事故の推移や住民の避難状況などを中心に構成し、原子炉のメルトダウンや放射能汚染の推移、今後の防災対策への提言などは見送った。内閣府は「被災者に直接関わる部分に重点を置いたため」と説明している。
|