日弁連(日本弁護士連合会)は1日、菅家利和さん(64)が再審無罪となった「足利事件」について、当時の弁護活動は逮捕から起訴まで接見が3回だけで、公判で弁護士が菅家さんの無罪の訴えを退けるような尋問をするなど、「被告の援助者たる弁護人として職責を果たす姿勢が欠けていた」と結論付ける報告書を公表した。
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日弁連は再審無罪を受けて昨年9月、日弁連や栃木県弁護士会の弁護士計6人の調査チームを設置し、公判提出の捜査資料を検証し、菅家さんや弁護士らから聞き取りをした。
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報告書では、弁護士が報道などの影響から接見で菅家さんが犯人との先入観にとらわれた質問をしたうえ、警察官や検察官の取り調べ状況を一切尋ねなかったと指摘。1審公判中、菅家さんが兄宛てに出した無罪を訴える手紙14通を受け取っていながら、公判では内容撤回を迫るような尋問を実施。菅家さんが「やっていません」と公判で初めて犯行を否認した際も事実確認をせず、判決直前にも無罪を訴える手紙を受け取ったが、裏付ける尋問を一切しなかった。
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こうした弁護活動について、「接見回数はあまりに少ない。被告の主張を信用する姿勢が全くなく、まともに対応していなかった」としている。
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