東電・福島第1原発の事故現場に、ようやく国産ロボットが投入される見込みになった。ロボット王国と言われながら、現場に入ったのは米国製だった。「日本のロボットは「実戦経験がない」と信用されなかった。威信回復なるか-。
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投入されるのは、千葉工業大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長や東北大の田所諭教授らが開発した災害救助用ロボット「Quince(クインス)」。長さ66センチ、幅48センチの車体に戦車のようなクローラー(無限軌道)が大小5つ。カメラやセンサー、ドアノブを回すアームも備えている。
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09年のロボカップレスキュー世界大会では運動性能部門とアームの性能部門で優勝した。米国の模擬災害現場で実験した際、がれきの走行や階段や坂を上る性能などで米国製を圧倒したという。
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今回の原発事故に対応するため、無線操作できる距離を2キロに延長、有線でも使えるよう改造した。遠距離操作できるよう、強い電波の使用も特別に認められた。日本原子力研究開発機構の研究所で放射線の耐久試験も行われた。5時間かけて10万ミリシーベルトをあてても問題なかった。作業員の被曝線量の上限の400倍に相当する。
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東電などの作業員が操作の訓練を受けた上で、事故現場に投入する予定。原子炉建屋内部の様子、放射線量、温度などの調査を期待されている。操縦者は2キロ離れたところから無線で指示を出す。
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産業ロボットなどでは世界的なシェアと技術を誇る日本だが、事故以来、日本のロボット研究者には国内外から「日本のロボットをなぜ原発に使わないのか」との声が相次いでいた。
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