エジプトのホスニ・ムバラク大統領(82)は1日夜(日本時間2日朝)、国営テレビを通じて演説し、9月に予定される次期大統領選挙に出馬しないと表明した。これにより、1981年以来、30年に及んだ同大統領の独裁政権に終止符が打たれることになった。
|
チュニジアでの政変を受けて1月25日に始まったエジプトでの反政府デモに現れた民衆パワーは、わずか8日間で、堅固と思われたムバラク体制を突き崩した。「アラブの盟主」エジプトの独裁政権が民衆デモにあっけなく敗北したことで、これまで民主化が遅れていたアラブ諸国の体制にも影響が及ぶのは必至の情勢である。
|
ただ、ムバラク大統領は即時退陣せず、現任期中は大統領職にとどまる方針を示した。これに対してオバマ米大統領が不満をにじませ、政権移行プロセスに直ちに取り組むよう求める声明を発表したのをはじめ、次期大統領候補の声もあるエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長も引き続き辞任を求める意向を表明。デモ参加者の間でも反発する声が強く、このまま事態が収拾するかどうかは不透明である。
|