全国の警察が10年に認知した刑法犯は、前年比6.9%減の158万5,951件で、8年連続で減少したことが13日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。87年(昭和62年)以来、23年ぶりに160万件を下回り、昭和末期の水準まで回復した。ただし、おおむね110万~130万件台だった80年以前とは依然開きがあり、警察庁は「治安回復は道半ば」としている。
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刑法犯認知件数は、オイルショックで高度成長の終わった73年が戦後最少の119万549件。バブル期に外国人犯罪の増加なども重なった88年からは160万件を超す状況が続き、98年に200万件を突破すると、02年には過去最悪の285万3739件を記録し た。その後は政府をあげての対策強化などもあって減少に転じ、07年に200万件を割っていた。
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ただし、10年は刑法犯件数が減った一方で、摘発件数も前年比8.7%減の49万7,389件と6年連続の減少となった。検挙率は0.6ポイント低下の31.4%にとどまった。殺人事件(未遂を含む)は前年比2.5%減の1,067件で2年連続の戦後最少を記録した。65歳以上の高齢の容疑者による事件は22.4%増の175件で、動機は「憤怒」と「介護・看病疲れ」「怨恨」が大半を占めた。
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強制わいせつ事件は前年比5.1%増の7,028件で、7年ぶりに増加している。子供と女性に対する性犯罪被害防止のための「子ども女性安全対策班」が09年4月に全国の警察本部に設置されたことに伴い、被害が顕在化したことが一因とみられる。都道府県別の刑法犯事件数は、1.6%増だった滋賀を除く46都道府県で前年より減少。和歌山が13.2%、愛知と富山が12.1%と大きく減った。東京は4.7%減、大阪は10.1%減、福岡は8.4%減だった。
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なお佐賀県警は同日、09年2月~10年6月の間に県内で発生した人身交通事故件数を意図的に少なくしていたと発表した。09年に当時の交通部長2人が相次いで各警察署に通達を出し、組織ぐるみで事故発生件数を隠蔽していた。統計上1,033件少なくしていた。県警は「当時、人身事故抑止策の効果が上がっていなかったことから指示した」と説明している。
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県警によると、通達は09年2月14日~4月1日付で計3回出されており、現在から2代前の交通部長(09年3月退職)が2回、前部長(10年3月退職)が1回出していた。
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通達内容は「駐車場など道路外で起きた軽微な人身事故と、物損事故として取り扱った後に人身被害の届け出があった軽微な交通事故については、交通事故の統計に人身事故として計上しない」とされ、文書の形で県内全10署に出されたという。この結果、人身事故件数は、09年は実際には8,548件あったが7,762件とされ、10年は1~6月に4,147件発生したが3,900件とされた。
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