佐賀県警は13日、09年2月~10年6月の間に県内で発生した人身交通事故件数を意図的に少なくしていたと発表した。09年に当時の交通部長2人が相次いで各警察署に通達を出し、組織ぐるみで事故発生件数を隠蔽していた。統計上1,033件少なくしていた。県警は「当時、人身事故抑止策の効果が上がっていなかったことから指示した」と説明している。
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県警によると、通達は09年2月14日~4月1日付で計3回出されており、現在から2代前の交通部長(09年3月退職)が2回、前部長(10年3月退職)が1回出していた。
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通達内容は「駐車場など道路外で起きた軽微な人身事故と、物損事故として取り扱った後に人身被害の届け出があった軽微な交通事故については、交通事故の統計に人身事故として計上しない」とされ、文書の形で県内全10署に出されたという。この結果、人身事故件数は、09年は実際には8,548件あったが7,762件とされ、10年は1~6月に4,147件発生したが3,900件とされた。
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県警監察課と交通企画課の説明によると、「通達内容はおかしい」という声が交通部内ではくすぶっていたが、「交通部長が最終的には責任を持つことだから」と是正の動きは起きなかったという。10年3月に前交通部長が定年退職したため、これを契機にやっと内部調査など是正への動きが始まった。
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実態については、6月8日に交通部から鈴木三男・県警本部長に報告された。発表がずれ込んだ理由を県警は「精査していた」としている。
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人身事故件数を少なく計上していた理由について、加茂賢治監察課長は「当時、県警では人身事故抑止に重点を置いていたが、効果が上がらず、人身事故件数を減らす方法として誤った判断をした」と断定した。
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今回の問題で、当時の県警本部長が警察庁長官注意、当時の県警交通企画課長が県警本部長注意を受けるなど、計6人が処分された。
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