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店員の「万防」の務め

 今回の中国による尖閣諸島侵犯・衝突事件は、1人勤務のコンビニが強盗に襲
われたようなものだろう。起訴相当と議決された小沢元代表は顔も見えない11人
の、しかも平均年齢30.8歳という呆れた刺客に襲われたのと同じ。中国による尖閣
諸島侵犯・衝突事件は、店員1人に店番させている店が襲われたときに、無抵抗で
レジにある現金、中には金庫の金まで渡すようにしているのと同じ構図。小沢元代
表の場合は、国策起訴の臭いがプンプン。
 店舗は外敵に日頃から備えているだろうか。社長は従業員の生活を守り、従業員
(アルバイト・パート含む)は店を守るという覚悟があるだろうか。コンビニや牛丼
店などを見る限り、備えはないだろう。覚悟のほうはどうだろうか。襲われてもいい
と覚悟しているのか‥。
 他国からの侵攻に相当するのが万引き犯であり、その対策が不充分だと内から
の侵犯(内引き)を招くことになる。万引きと内引き対策は、併せ技でいかなければ
いけない。
 1998(平成10)年9月に福岡地裁小倉支部で、次のような判決があった。
 これは1992(平成4)年にコンビニエンスストアの従業員らが代金を支払わずに商
品を持ち帰った(内引き)ことなどを理由とする経営者からの損害賠償請求があった
裁判である。
 判決では、従業員は客による万引きを防止するなどの防犯義務を負担するほか、
自らの店の商品を盗取(内引き)するなどの不正行為をしないことはもとより、他の従
業員の不正行為を発見したときは、経営者にこれを申告すべき義務を負っていると
して民法719条2項に基づき損害賠償請求は認められるとしたのである。
 この損害賠償請求裁判は、被告(従業員)らの不法行為・幇助行為の成否とその損
害賠償責任の範囲について争われたものだが、判決で次のように言い渡され、従業
員の防犯義務が明らかにされた。判決文の概要は次のとおりである。
 『被告らは、原告が経営する店舗に店員として雇用されていた者であるが、一般に
店舗のような店で店員として勤務する従業員は、雇用契約上の具体的義務として、客
による万引きを防止するなどの防犯義務を負担するほか、信義則に基づく誠実義務と
して、雇用主に経営上の損害を与えないよう配慮すべき義務、すなわち、自ら店の商
品を盗取するなどの不正行為をしないことはもとより、他の従業員による不正行為を
発見したときは雇用主にこれを申告して被害の回復に努めるべき義務をも負担するも
のと解するのが相当である。
 そして、従業員自らが商品を盗取するなどの不正行為をした場合にはこれが不法行
為を構成することは明らかであるが、更に他の従業員による不正行為を発見しながら
これを雇用主に申告しないで被害の発生を放置した場合には、その不作為が前記内
容の誠実義務に違反する債務不履行を構成するのみならず、その不作為によって他
の従業員による不法行為(不正行為)を容易にしたものとして、不法行為に対する幇
助が成立するものというべきである。
 この点、被告らは、学生アルバイトにすぎない被告らには、他の従業員による不正
行為を雇用主に申告すべき義務はない旨を主張するが、前記内容の誠実義務は、雇
用契約関係にあれば信義則上当然に生じるべき義務であり、何人もこれを容易に履
行することのできるものであるから、社会経験の乏しい学生アルバイトであるからと
いってその義務がないとすることはできない。
 各被告らは、それぞれ勤務を始めて遅くとも1ヶ月が経過した頃から、他の従業員
が不正行為を行い、かつ、これが日常的に反復されている事実を認識するに至った
ものと認められるから、その事実を認識しながら、その事実を雇用主の原告に申告し
ないで被害の発生を放置していたものとして、少なくとも不作為による幇助が成立す
ることは明らかというべきである』。
 どうだろうか。現在の万引き・内引きに対する姿勢を見ると、従業員だけでなく、
経営者にもその覚悟はないと言わざるを得ない。万引き防止は私の仕事ではない
という店員がいるが、身近にそういう店員がいたら、前記の判決文を読んで聞かせ
てあげたらいい。商品の品出し、陳列、接客だけが仕事だと思っている店員が多い。
 万引き防止に熱心に取り組んでいる店も、内引きに対してはきわめて消極的姿勢
である。イザという時に備えて、またイザという事態が生じた時には迷わず粛々と行
動できるよう普段から準備し訓練しておくべきである。 (by 佐藤)
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〔訂正〕
 昨日の「夢の万引き未然防止」と題したメルマガで、「万引き未然防止システム」
では不審者・容疑者の顔を自動登録したいが、これはバイオメトリクス(生体認証)
による顔認証システムを応用したものでも今のところ不可能。むしろ体験上では、
人手による登録がベター。パナソニックの場合も同じ。認証も同じ」と書きました
が、
この「認証も同じ」という字句は削除します。文中の説明によるとおり、これは自動
で行われます。お詫びして訂正します。


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