大日本印刷とドコモ・システムズは共同で18日、学習塾や学校に通学する子供の登下校情報を、ICタグを利用して保護者にメール配信するサービス「KIDSSAFETY PASS (キッズセーフティーパス)」を来年年3月からスタートさせると発表した。 |
塾や習い事に通う生徒は全国の小中学校の37%(約400万人)に達しており、有名塾に通うため交通機関を利用し遠距離通学する生徒も多く、また夜遅い時間まで授業を行う塾も少なくない。多くの親は、子供が家を出て塾に向かう、または学校の帰りに塾に寄る場合でも、その到着や終了を確認することが困難であり、夜遅くに子供が帰宅することにも大きな不安を持っている。そうした状況のなか必要に迫られて不安ながら塾に通わせている場合が多く、子供に対する通塾・登下校のセキュリティサービスへの要望が高まっている。 |
「KIDS SAFETY PASS」のサービスは、生徒にカードタイプやバッグなどにぶらさげるストラップ形状の非接触ICタグを配布し、塾教室や学校の出入り口に設置したICタグ読み取り用のリーダーにタグをかざすと、即座にあらかじめサーバーに登録してある保護者の携帯電話やパソコンのメールアドレスに登校時刻(「太郎君、今16:30到着しました」)、下校時刻(「桃子ちゃん、今19:21塾を出ました」)、その他塾や学校からの保護者への連絡事項(「11月29日17:00より津田沼教室で父兄会を実施します」)などを配信できるセキュリティ情報サービスとなっている。 |
このサービスを利用することにより、親は子供の登校下校の時刻を確実に把握でき、最寄の駅までの出迎えなどのタイミング把握などが容易になる。さらに、塾側も出席管理、保護者との連絡、報告のコミュニケーションの合理化を図ることができる。すでに首都圏の大手塾が来年3月からの導入計画をすすめており、今後全国の主要塾に拡販していく予定である。 |
サービス全体の管理とICタグの製造を大日本印刷が、システム開発は大日本印刷とドコモ・システムズと共同、システム運用はドコモ・システムズが行う。また全国の塾・学校へのリーダーの設置・ネットワーク設定はNTTのグループ企業に委託する予定。 |
大日本印刷は、書籍や包装資材を製造する立場から、次世代バーコードと期待されているICタグの研究開発を95年から開始し、ICタグの製造から各種アプリケーションの開発を行っている。01年10月には、日本企業で初めて「Auto-IDCenter」に参画し、ICタグの実用化に向けた研究や各種実証実験に参加しており、ICタグを利用したサービス提供を目指している。 |
ドコモ・システムズは、"Safety & Amenity"をコンセプトに営業戦略を展開しており、第1弾として昨年末に発表した「留守モード」は、携帯電話で家庭の照明やエアコンをコントロールしたり、窓の開閉や人の出入りを確認するシステムであり、マンション向けに好調な販売を行っている。。このノウハウを活かし、"Safety & Amenity"の第2弾として大日本印刷との共同サービスを行うことになったもの。 |
料金と売上目標は次のとおり。 |
・初期費用:3,000円/人(ICタグカード発行・DB初期登録費用) |
・月額:300円/月・人 |
・費用は、本サービスに参加する塾・学校が保護者から徴収し大日本印刷に支払うモデルをとる。 |
・売上目標:初年度3億円、05年には10億円の売上を見込んでいる。 |
今後両社は、今回開発した「KIDS SAFETY PASS」サービスを、さまざまな教育機関に積極的に販促を行うとともに、サービス拡張として、学習塾が密集するターミナル駅や郊外の主要駅に、「KIDS SAFETY PASS」のリーダーを設置し、子供たちの駅の通過情報がリアルタイムで配信できるよう、鉄道各社に協力を呼びかけていくことにしている。これを推進することにより本サービスの機能向上だけでなく、駅自体が人のアクセス・通過情報に合わせたコンテンツを送受信する拠点として、さまざまな付加価値を生むインフラとなるような双方向サービスの開発を目指していく。 |
また今回、大日本印刷は、本サービスのベースとなるIDリーダーによる個人認識システムと、同一IDに対してリーダーごとに違った情報・メディアサービスをオンデマンドで提供するビジネスモデル特許を出願した。 |