長野地方裁判所松本支部で12日、昨年12月に長野県安曇野市内の神社のさい銭箱からさい銭を盗もうとしたなどとして常習累犯窃盗の罪に問われた本籍安曇野市穂高の住所不定、無職の男性(48)の判決公判が開かれ、二宮信吾裁判官は検察側が証拠として提出した神社内の監視カメラの画像について「男性と同一人物であることを証明できるものではない」として無罪(求刑懲役4年)を言い渡した。
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判決で二宮裁判官は、写っていた人物について眼鏡をかけているように見えるが、男性が長野県警・安曇野署員から職務質問を受けた時には眼鏡を持っておらず監視カメラの画像も不鮮明と指摘した。
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長野県警捜査3課などによると、昨年12月18日午前7時過ぎ、さい銭箱の防犯装置の警報音が鳴り神社関係者が逃げる人物を追跡し、110番通報を受けた安曇野署員が付近を捜索して約1時間後、神社北約2キロの路上で逃げた人物に似た男性を発見して職務質問したところ、男性が容疑を認めたといい盗み未遂の疑いで逮捕した。監視カメラには、さい銭箱の防犯装置が作動したのと同時刻に挙動不審の人物が1人写っていたという。地検松本支部は他に写っている人がいないため、この人物が犯人で男性がこの人物と似た服装をしていて同一人物と判断し、男性が10年以内に3回、盗みで実刑判決を受けて服役している事実を確認し常習累犯窃盗の罪で1月に起訴した。
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男性の弁護人によると、男性は逮捕直後の取り調べで犯行を自白をしたが逮捕数日後の接見時に黙秘する意向を示し、その後の捜査から黙秘。判決まで全6回の公判のうち罪状認否があった2月の初公判から第3回公判まで黙秘を続け7月の第4回公判の被告人質問で「身に覚えがない」と犯行を否認した。安藤弁護士は無罪判決について「疑わしきは罰せずという原則が忠実に守られた結果だと受け止める」と述べた。地検松本支部の星野敏支部長は「控訴も含め、今後については本庁などと検討して決める」とした。
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