福岡県宗像市のJR赤間駅周辺の改装工事で、公共施設内での性犯罪や恐喝などを未然に防ごうと、駅舎と広場を結ぶ通路をガラス張りにするなど「死角を減らす」取り組みが進められている。設計の段階から、宗像市と福岡県警・宗像署が協議を重ねている。 |
工事は宗像市が中心部整備のために着手した赤間駅南口前広場の整備事業で、約25億円をかけてエレベーターやエスカレーター、駐車場建設などを進め、来年度中の完成を目指している。赤間駅は年間約800万人が利用しており、駅周辺では今年に入ってからも乗降客を狙った、ひったくりや恐喝事件などが起きている。 |
宗像署は当初、駅前ロータリーの交通安全対策で相談を受ける程度だったが、今年7月、署側の提案で防犯の観点から設計案が見直されることになった。この結果「死角をいかに減らすか」に力点が置かれ、1ヶ所だった公衆便所の出入り口は2ヶ所に増設され、窓も天窓だけだったのが、すりガラスの窓を大幅に増やし、中にいる人の動きが分かるよう変更された。 |
このほか、駅舎と広場を結ぶ通路の壁を透明化することが決定。駅前広場から暗がりをなくすため街路灯の照度や位置を改善することや、パトカー待機場所の確保についても市側で検討している。 |
宗像市は「防犯対策は行政だけでは限界がある。今回の事業をモデルケースに、来年度から着手する赤間駅北口の整備事業でも警察の意見を参考にしたい」とし、宗像署も「完成した施設を改築するのは難しいし、被害が出てからでは遅い。今後も防犯の環境づくりに、行政、住民と三位一体で取り組みたい」としている。 |