仙台駅前商店街振興組合(横山治理事長)は28日、万引き犯への損害賠償請求などを柱とした万引き防衛策として、対策を盛り込んだ「窃盗犯罪(万引き)対応についての共同宣言」を採択した。加盟各社は年間数億円にも上るとみられる万引き被害の抑止効果に期待している。
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共同宣言は(1)警察への通報徹底、(2)万引犯の所属する職場などへの事実と氏名の通告(任意)、(3)未成年の場合は保護者に連絡、(4)被害対応で費やした人件費など損害分の請求、(5)悪質な事例の公表、を柱としている。
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万引きによる損害分の請求は、被害届などの手続きに要した時間の人件費を1人当たり1分50円で計算し、万引き犯に支払いを求める。請求額は最低でも2万円程度とみている。
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総会で宣言を採択した振興組合は今後、各店舗に宣言文を掲示し、客に規範意識の向上を促していくことにしている。未成年者への対応や損害額の計算方法などをまとめた資料も作成し各店舗に配って対応の平準化を図り、警察への通報を徹底する方である。
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振興組合が厳しいペナルティーを科すことを決めた背景には、万引被害の深刻な現実がある。組合幹部は「加盟62社で年間被害総額は数億円に上るのではないか」と推定している。
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狙われる商品は数百円の本やCDなどが多いが、1度に大量に盗まれ、被害が10万円を超す場合もあるという。最近は換金目的の万引きも増え、加盟の大型商業施設では今年、高校生3人が見張り役と実行犯に分かれ、約4万8,000円相当のCDなどを盗む事件もあった。
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振興組合によると、万引き犯を捕まえて警察に被害届を出し終えるまで、最低でも店員2人が通常業務を離れて対応する。この間、販売などに人手を回せなくなる不都合が生じていた。このため被害届手続きの煩わしさから警察に通報せず、万引き商品の買い取りやその場での注意で済ませてきたケースも多く、再犯を助長してしまった面もあったという。
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