地下鉄サリン事件の10日後に起きた国松孝次・元警察庁長官銃撃事件は、30日午前0時に殺人未遂容疑の公訴時効を迎える。警視庁は、オウム真理教による組織的な犯行とみて捜査してきたが、容疑者の特定には至らず、警察のトップが狙われ日本の治安を揺るがした事件を解決できなかった捜査のあり方が問われることになりそうである。
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事件は、15年前の平成7(1995)年3月30日、警察庁の國松長官が東京・荒川区の自宅のマンションの前でけん銃で撃たれて大怪我をしたもの。事件は、全国の警察が地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教に対する強制捜査に全力をあげるなかで発生し、警視庁は教団による組織的な犯行の疑いが強いとみて捜査を進めてきた。
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翌年の平成8(1996)年、現職の警察官で教団の信者だった元巡査長が犯行への関与を認める供述をしたが、供述はたびたび変わり、けん銃を捨てたという川を捜索してもけん銃は見つからず立件には至らなかった。この際、元巡査長の取り調べを半年にわたって一部の人間だけで行ったことが隠ぺいだと批判され、当時の警視総監が辞任に追い込まれる事態となった。
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平成16(2004)年、警視庁はオウム真理教の元幹部や元巡査長ら3人を殺人未遂の疑いで逮捕したが、「犯行を裏付ける証 拠がない」として不起訴となり、捜査のあり方が厳しく問われた。警視庁は、その後もオウム真理教の組織的な犯行とみて捜査を続けてきたが容疑者を特定することはできず、15年となる30日午前0時に時効を迎えることになった。警察のトップが狙われ、日本の治安を揺るがした事件を解決することができなかったことで警視庁の捜査のあり方があらためて問われることになりそうである。
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