万引きの窃盗罪で執行猶予付きの有罪判決を受け執行猶予期間中に再び同罪で起訴された香川県善通寺市ど同県多度津町の女性被告2人に対し、高松地裁丸亀支部(安部勝裁判官)が相次いで再度の執行猶予付き判決を言い渡したことが26日わかった。高松地検は「異例の判決」としてそれぞれ高松高裁に控訴した。弁護士の1人は「精神的な疾患という特別に考慮する事情があり妥当な判決」と反論している。
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高松地検によると、善通寺市の無職女性(38)は昨年10月22日、同県丸亀市のスーパーで刺し身など7点(1,945円相当)を万引きしたとして逮捕、起訴され今月に懲役10月、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役10月)の判決を受けた。多度津町の無職の女性(50)は昨年9月、丸亀市内でマグカップなど30点(8,149円相当)を万引きしたとして同12月に懲役1年、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役1年2月)の判決を言い渡された。
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いずれも万引きは執行猶予期間中だった。刑法では「情状に特に酌量すべきものがあるとき」に限り、執行猶予中の被告に再度の執行猶予(保護観察付き)判決を言い渡せると定めている。多度津町の女性の判決では「被告が精神的な疾患を有しており、犯行当時も精神的に不安定な状態にあったことは否定できない」と情状酌量すべき事情を認定した。
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地検は「2人に特別に配慮すべき事情はない。同種の事件を繰り返しており、判決は異例」と、「量刑不当」を理由に控訴した。法務省によると、08年に執行猶予付き判決を言い渡されたのは全国で4万4,398人。猶予中の判決はそのうち299人だった。
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