法務省は13日、「平成21(09)年版犯罪白書」を公表した。犯罪の5割前後を占める再犯者の防止施策充実を特集し、自動車運転過失致死傷などをのぞく「一般刑法犯」の検挙者34万人のうち、再犯者は14万人で再犯者率42%、窃盗も再犯者7万5,000人で43%と、ともに連続した統計のある昭和43年以降で最高だった。覚醒剤事犯者は再犯者6,200人で56%だった。
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とくに再犯性の高い窃盗と覚醒剤事犯者への特別調査では、居住・就労状況や監督者、保護観察など「人」の果たす再犯の抑止になる効果を強調した。白書は「犯罪者を改善更生させ、社会の構成員に取り込む点からも、再犯防止は国民全体の大きな利益になる」としている。
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法務総合研究所がまとめた白書では東京、横浜の地・区検が処理し、平成16年に一審で確定した窃盗、覚せい剤取締法の執行猶予者を追跡調査し、約1,200人(男1,000、女200)のうち再犯者は窃盗は男30%、女33%、覚醒剤では男32%、女21%。再犯者の8割が前回と同一罪名で、再犯までの期間は窃盗は1年6ヶ月以内、覚醒剤は2年以内が過半数だった。
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再犯防止・リスク要因として、居住・就労状況別では、窃盗で再犯が多いのは「単身(定住)・不安定就労(アルバイトなど)」で40%、以下、「単身(住居不定)・無職」「単身(定住)・無職」で、最も再犯が少ない「家族と同居・安定就労」では8割以上が再犯に及ばなかった。覚醒剤では居住状況を問わず、「無職」が再犯に及ぶ割合が多かった。
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その他の要因では、裁判で釈放後の監督を誓約した親・親族、雇用主ら「監督者」がいた場合、窃盗の再犯は20%、いない場合は40%に、覚醒剤では25%と50%に。「保護観察」があるかないかでは再犯割合に大差なく、制度の趣旨(リスクが高い者につける)からすれば、相当の抑止効果があるとした。一方、覚醒剤では女子の場合、「共犯」がいた場合の再犯は33%、いない場合は15%と、人の影響を受けやすい実態もわかった。
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