警視庁が増加傾向にある万引き被害を抑止するため設置した有識者らによる調査研究委員会(委員長:坂井昭宏・桜美林大教授)は26日、店側から警察への通報率が2割程度にとどまっている現状を踏まえ、被害届の手続きを簡素化するよう提言した。負担を軽減することで店側に被害の全件届け出を促し、万引きが犯罪だと認識させることが狙いである。提言を受けて警視庁では、被害届の書類を簡易な様式に変更するなどの具体策を検討する。
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昨年の東京都内の万引き検挙・補導者数は1万2,695人で、5年前の約1.5倍に増加している。同委員会は今年の検挙・補導者のうち1,050人に聞き取り調査して動機などを分析した。
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万引きなどの再犯者226人を詳しく調べたところ、発覚回数と通報回数を比べた通報率は21.5%で、5回のうち4回は見逃されていた。同委員会は「万引きしても通報されなかった経験が安易な犯行の繰り返しにつながっている」と指摘している。
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少年に動機を尋ねたところ、「ゲーム感覚」との回答が26.8%と最多で、高齢者を含む全検挙・補導者の約6割が「捕まると思っていなかった」「何も考えていなかった」と回答した。同委員会は、代金を弁償すれば警察に通報しない店側の対応も規範意識の乏しさの一因になっているとみて、店舗責任者に全被害を届け出るよう求めた。
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