警視庁が万引きで摘発した計1,050人を対象に実施した意識調査で、少年は万引きをする心理的な要因として「ゲーム感覚」を挙げる割合が高かったのに対し、65歳以上の高齢者の4人に1人は「孤独」を挙げたことが1日、分かった。
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万引きをした高齢者の40%は独り暮らしで、53%は「友人がいない」と回答。孤立した生活実態が背景にあることが浮き彫りになった。
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店員の声掛けに防犯効果があることも分かり、大学教授らで構成する調査研究委員会が結果を詳細に分析し、総合的な万引き防止策を警視庁に提言する予定である。
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調査は4月20日から6月30日にかけて万引きで摘発された少年428人、20~64歳の成人418人、65歳以上の高齢者204人を対象に実施した。取り調べ内容を基に、担当者が規定の調査票に記入する方式を採った。
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心理的な要因(複数回答)では、高齢者は「孤独」24%、「生きがいがない」8%、「むしゃくしゃした」7%の割合が高く、少年は「ゲーム感覚」27%、「単に欲しかった」23%の順だった。
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高齢者の64%は収入がなく、19%は生活保護を受けていた。
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万引きを断念する理由では「監視カメラの設置」が全体平均で2%と極めて低いのに対し、「店員の声掛け」は同62%と高く、対策を講じる際の参考となりそうだ。
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抑止効果を狙って窃盗罪に50万円以下の罰金刑が06年5月から導入されたことには高齢者74%、成人64%が「知らない」と回答、あまり知られていなかった。
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1,050人のうち、再犯者226人を調べたところ、「初犯」が万引きだったのは少年88%、成人69%、高齢者77%で、万引き犯罪の常習性が高いことを示した。
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調査結果について警視庁は、「世代ごとの対策が必要だ。家庭や地域のきずなづくりなど、万引きをさせない環境づくりにつなげたい」としている。
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