林芳正経済財政担当相は24日の閣議に、平成21年度の年次経済財政報告()経済財政白書)を提出した。白書は非正規労働者の増加によって「賃金、家計所得の格差の拡大傾向が続いている」と指摘し、格差の拡大傾向を明確に認めた。白書はその原因を「非正規労働者の増加」としており、高齢者だけでなく若年層にも効率的に所得を再分配する制度が必要と結論づけている。
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白書は、昨秋以降の世界的な景気後退に伴い「派遣切りなどの形で雇用調整が行われた」と非正規労働者の雇い止め問題を指摘し、実際に5月の完全失業率は5.2%と急速に悪化しており、失業者の増加が格差の拡大を加速させることに懸念を示している。
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格差拡大の要因について「非正規雇用の増加が主因」と言い切り、1~3月の非正規労働者が全雇用者の3分の1を占めている現状を踏まえ、「正規と非正規との間には生涯所得で約2.5倍の格差がある」とのデータをあげ所得格差を問題視している。
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さらに、非正規雇用が増加した背景として初めて、高齢化以外に「労働法制の改正」を原因にあげ、白書の表現ぶりは「行き過ぎた規制緩和が格差拡大を助長した側面もある」と暗に認めた形になっている。
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一方、白書は今回の景気後退について「過去にない速さ・深さで、長さも過去の平均に達した可能性がある」と指摘し、「(2007年までの)米国の景気拡大はバブルの要素を含み、わが国の収支改善も制約される」として日本の景気がピーク時の水準に戻ることは難しいとの見方を示した。その上で個人消費を中心とする内需と輸出など外需の「双発エンジン」で回復する姿が望ましいと結論づけている。
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