東京地裁の杉原則彦裁判長は16日、72年の沖縄返還に伴って日米間で交わされたとされる「密約文書」をめぐる情報公開訴訟で、文書を保有していないと主張する国側に「その理由を合理的に説明する必要がある」と指摘し、次回までに示すよう求めた。訴えられた国側に積極的な説明責任を求めたもの。
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密約をめぐっては、その存在を裏付ける外交文書が米側で公開されているにもかかわらず日本政府は一貫して「密約はない」と否定し続けている。
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訴えているのは、作家の澤地久枝さんや立正大講師の桂敬一さんら25人。昨年9月に情報公開法に基づいて、密約を記した日本側文書の公開を求めたが、国は「保存場所を探索したが、文書を作成、取得した事実は確認できず、廃棄・移管の記録もなかった」などとしたため今年3月に提訴した。
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この日の第1回口頭弁論の冒頭で、杉原裁判長は「率直な感じを述べさせていただく」と切り出し、米側に密約文書があるのだから日本側にも同様の文書があるはずとする原告側の主張は「十分理解できる点がある」と発言。原告側が、仮に密約文書そのものを国が保有していないとしても関連文書はあるはずと主張していることについても、「理解できる」とした。
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そのうえで、もし密約そのものが存在しないというのであれば、アメリカの公文書をどう理解すべきなのかについて「被告側が説明することを希望する」と述べた。
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さらに、当時の交渉責任者で密約があったことをメディアに明らかにしている吉野文六・元外務省アメリカ局長を証人に招くよう原告側に促した。
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