日本郵政公社によると、盗難通帳による預貯金の不正引き出しによる全国の郵便局の今年度の被害額は4~8月の5ヶ月間で約12億7,500万円に上っていることが8日、わかった。過去最高だった昨年度同期の約1.5倍で、深刻な状況にあることがわかった。日本郵政公社は今春から、通帳の照合用印影(副印鑑)に偽造防止用シールを張るなどの対策に乗り出しているが、効果を上げていない。窓口での暗証番号確認の導入など、踏み込んだ対応の必要性が裏付けられた。 |
同公社は今夏、過去10年間の被害状況を公表した。昨年度の被害額は前年度の2.6倍の約28億円と過去最高を記録した。しかし、今年度の被害額は、昨年度を同期比で4億円も上回り、過去最悪を更新するペースとなっている。 |
1件あたりの被害額も約250万円で、昨年度(約200万円)を大きく上回っている。犯行グループの組織化や手口の巧妙化などで高額化する傾向にある。 |
不正引き出し問題について同公社は今年4月、通帳更新の際に副印鑑に特殊なシールを張る対策を導入した。スキャナーなどによるパソコンへの読み取りを防ぐためだが、シール付きの新たな通帳の普及は進んでいない。また、銀行などが導入を進めている副印鑑制度の廃止については、「新たな照合システムの導入はコスト的に困難」との理由で実現していない。 |