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刑事の8割が「捜査協力得にくい」、08年版警察白書
~聞き込み捜査での刑法犯摘発件数が大幅に減少~

警察庁は22日、「変革を続ける刑事警察」を特集した08(平成20)年版警察白書を公表した。これによると銃器を使う凶悪事件や街頭での無差別殺傷事件が相次いで発生し、犯罪情勢は依然厳しいと分析し、戦後に警察の1次捜査権が確立して以降、社会情勢とともに変化してきた刑事警察の歴史と現在の状況を紹介、07年の刑法犯認知件数が10年ぶりに200万件を下回ったものの、120万件前後だった昭和40年代に比べ高い水準にあると指摘している。
一方、個人情報への意識が高まり捜査上必要な情報の提供を拒まれるケースが増え、聞き込み捜査を端緒とした刑法犯摘発件数は93年に1万464件だったが、07年は4,820件と大幅に減少した。
今年1月末から2月上旬に都道府県警の大規模警察署で刑事を務める巡査から警部までを対象に実施したアンケート調査では、一線の刑事の8割が「国民から捜査協力を得ることが困難」と回答するなどした調査結果を示し、地域社会の変容や個人情報保護の高まりで、刑事事件の捜査環境が厳しい時代を迎えたと指摘している。
アンケート調査によると、「捜査活動に対する協力を得ることは困難と感じるか」との質問に、79.2%が「感じる」と回答。その理由を複数回答で尋ねたところ、「後々警察に話すことが面倒だと考えている人が多い」(58.3%)、「情報提供に慎重な会社、事業者が多い」(48.2%)などが上位を占めている。
協力を得ることが困難と感じる具体的場面については、「関連資料の任意提出を拒まれる」が52.3%で最多。次いで「関係者が氏名を明らかにしたがらない」が43.2%、「住民に聞いても情報提供を拒まれる」も29.8%に上り、国民の意識の変化が捜査上の壁となることをうかがわせる結果となった。
また、「捜査する項目が増加したと感じている」と82.7%の刑事が回答。その理由として82.6%が「電磁的記録(電子データ)の解析などの捜査が増加している」を選んでおり、刑事の負担増と情報化社会での捜査手法の開発や能力向上が求められている現実も浮かび上がった。
経験5年未満の若手(357人)と20年以上のベテラン(381人)を対象に捜査技能の「修得・伝承」についての質問では、若手の96.6%が「ベテランから技能を修得する必要性があると感じる」と答え、ベテランの92.5%も「若手に技能伝承していく必要性があると感じる」と答えた。
修得・伝承の必要性を感じる具体的な捜査技能としては「取り調べ」を挙げた人が若手とベテランを合わせた全体の77・6%と、2位の「各種捜査要領」(49.0%)を引き離して最多だった。
これに対し白書は、DNA型データベースの充実や容疑者の3次元顔画像データベースの構築など科学捜査を駆使し、通信傍受やプロファイリング(犯罪情報分析)などの捜査方法を活用することが重要だと指摘、「国民の理解と協力を得ながら捜査力を強化、犯罪と対決する」と結んでいる。


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