Secure-japan
header


診断
犯罪事例
セキュリティ情報
このサイトについて
  

旭化成ホームズが侵入パタン分析からの防犯対策提案
~低層集合住宅の侵入被害部位に関する実態調査発表~

旭化成ホームズ・ロングライフ住宅研究所は28日、集合住宅の防犯に対する関心や犯罪不安の高まりを踏まえ、明治大学理工学部 山本俊哉准教授と共同で自社が供給した低層集合住宅の修理依頼記録から侵入被害に関する記録を抽出し、建物図面との照合や実地調査により分析することで被害実態を明らかにした。この調査は、06年4月に発表した「戸建て住宅の侵入被害開口部に関する実態調査」に続き、低層集合住宅設計時の防犯対策を検討する際に貴重なバックデータとして活用されることが見込まれる。
今回の調査結果によると、侵入被害を受けた開口部の91%が1階窓に集中し、その86%がバルコニー面の掃き出し窓だった。被害窓は道路から見えないものが68%を占め、プライバシー確保のニーズが死角の一因となっていた。
また、侵入ルート上の門扉やフェンスの未設置や未施錠、高さ不足などのため、その部位への接近制御(侵入者の開口部への接近を外構で防ぐこと)が充分でない例が多く見られた。
被害件数は側面向き住戸が全体の65%を占めているが、背面向き住戸も存在比率が少ない割に被害リスクが高く、道路向き住戸はこれらの半分以下の被害リスクだった。
集合住宅の防犯についての指針は、各都府県でマンションの防犯対策に関する指針などがあるものの、大規模な団地やマンションを対象としたものが多く、2~3階建ての低層集合住宅に対しての指針は少ない状況にある。
「ロングライフ住宅の実現」を目指す旭化成ホームズは、戸建て住宅だけでなく集合住宅(賃貸住宅)ヘーベルメゾンについても、竣工時の建物図面や修理依頼記録などのメンテナンス履歴、あるいは旭化成不動産の物件管理情報などをデータベース化して保有することで顧客へのアフターサービスの充実や入居者の満足向上に活用している。
今回の調査は、これらのデータベースを保有していたことで、被害内容を実際の建物図面と照合し、侵入パタンを分析することが可能となったもの。
調査対象期間は▽A.侵入被害修理記録調査/04年~07年の4年間▽B.侵入被害物件図面調査/06年7月~07年12月の1年半▽C.侵入被害物件実地調査/06年7月~06年12月の半年間▽D.被害なし物件図面調査/1991、2001、2006年(各3月)竣工侵入未被害物件
調査方法は東京都および神奈川県が建設地である2~3階建てのヘーベルメゾン、ヘーベルハウスの賃貸住戸部分を調査対象とし、修理依頼記録の中から侵入被害に関連するものを抽出し、被害件数を把握するとともに、被害箇所と図面を照合した。実地調査については、道路からの見通しや周辺状況を確認し、侵入ルートを推定した。
調査結果の要約は次のとおり。
(1)近年の仕様改訂による防犯性能の向上により、玄関の被害は減ってきたが、1階の窓の被害が約9割を占めており、防犯ガラス導入による被害リスクの減少は顕著ながらも1階窓の防犯対策が課題となっている。
(2)道路から被害窓が見えないものが約7割を占めている。その死角要因としては、目隠しフェンスや密生した植栽、住戸間のパーティションなどプライバシー確保のためのものが多く見られた。また、門扉やフェンスなどにより接近が制御されているように見えても、反対側に容易に侵入できる別のルートがあったり、門扉が低く見通しの悪い箇所にあるため乗り越されて侵入されたと推定される例も見られた。
(3)道路から見た住戸の向きによって侵入パタンは異なるため、その対策のポイントも違ってくる。
・道路向き住戸では、道路向きの窓のプライバシーに配慮しながら、その部位への接近制御を強化すること。
・側面向き住戸では、パーティションによる死角をなくして見通しを良くし、道路から直接のルートおよび共用廊下から回り込むルートの両方に対して接近制御を合わせて実施すること。
・背面向き住戸では、被害が集中した背面の開口部に近づけないよう接近制御をすること。
これらが防犯性を高めるポイントである。


footer