ピッキング、カム送り解錠、サムターン回し、焼き破り、ドア破りなどと侵入の手口はさまざまあり、1戸建てからマンションなど集合住宅まで新聞、テレビが特集を組むほど一様に狙われている。しかし、残念ながらまだまだ市民の関心は低い。“我が家には、よもややって来ない…”と思っているからである。 |
和歌山市で自動車ガラスを販売しながら錠前を販売するだけでなく、特に小型電気錠を研究開発しているキー・ショップ・ワカヤマ(電話:073-451-3737)の植田 努社長は、最近の侵入盗の傾向から「鍵の売り方をいささか間違えていた」と反省しきりである。 |
植田社長の反省は、多くの錠前業者にも参考になる話だから紹介しよう。同社長が反省しているのは、わが国のマンションの総戸数は約430万戸(居住人口は約1,100万人)で、そのうち約300万戸がピッキング、カム送り、サムターン回しによって、不法に住戸に侵入される危険があると言われていたのに、売り方を間違えていたというのである。 |
一般にマンション向けに販売する場合、オーナーを攻略するということもあるが、だいたいはマンション管理組合に働き掛けている。この場合、提案説明が夜とか休日に行われ、しかも意見集約に時間が掛かりすぎるきらいがあるが、植田社長は、マンション側の負担費用の捻出に「管理組合の修繕積立金など」に注目したのである。 |
同社長によると、全マンション管理組合の修繕積立金などの総額は約3兆円もあり、この豊富な資金を防犯対策に振り向けてもらうのだという。マンション管理組合の修繕積立金などの運用目的は、一般に消防設備点検費、電気設備点検費、機械式駐車場保守費、受水槽清掃費、床清掃費、外壁清掃費、雑排水管清掃費などのほかネズミ、ゴキブリ、チョウバエ、蚊、蝿、ダニなどの衛生害虫管理がある。 |
植田社長は、「大修繕を2~3ヶ月しても防犯対策に修繕費を振り向ける、ネズミ、ゴキブリなどの駆除に害虫駆除費を使うことも大切だが、今の治安状況を考えればマンションに不法に侵入してくる犯罪者の防止にも資金を使って欲しい」と語っている。つまり、マンション管理組合は、管理すべき中に防犯機器を組み入れ、その第一にピッキング、カム送り、サムターン回しなどによって侵入されることを防ぐためにワンドア・ツーロックとしたり、ガードプレートを取り付けたり、ピッキングに強いシリンダーに交換してもらうことを錠前業界あげて働き掛けたいというのである。 |
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ワカヤマ・キー・ショップ(和歌山市野崎、電話:073-451-3737)が、このほどキーレス・シリンダー付きの「小型電動ロック」を開発し、発売を始めた。 ①赤外線、多コード自由設定の新回路採用、②本体、リモコン式で取替え簡単、③キー穴をなくしピッキングを防止、④電池切れには外部ブース取込み端子有、⑤今ある錠前をそのままで取付け可能、⑥緊急解錠はサムターン直結キーで開けるといった特長がある。リモコンを紛失したときには、本体側コードを簡単に変更することで、紛失したリモコンは無効となる。 |