長崎、佐賀、福岡、熊本各県の漁業者ら約2,500人が、有明海の漁業不振は国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防閉め切りが原因だとして国に堤防の撤去や排水門の開門などを求めた訴訟の判決で佐賀地裁(神山隆一裁判長)は27日、諫早湾の漁業被害と閉め切りの因果関係を認め、排水門の常時開放を命じた。
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諫早湾の干拓には総事業費約2,500億円が投じられ、費用対効果や環境への配慮をめぐり大型公共事業の在り方が問われてきた。漁業被害については4県の漁業者らが公害等調整委員会に干拓事業との因果関係認定を求める裁定を申請したが棄却されていた。
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原告らが工事差し止めを求めた仮処分申請では佐賀地裁が04年、漁業被害を認めて差し止めを命令。工事は約9ヶ月間中断したが福岡高裁の取り消し決定で再開され、今年3月に完了した。現在は干拓地で営農が始まっている。原告らは新たに開門の仮処分も申し立てており、判決と併せて決定が出される。
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原告側は「有明海の再生には堤防の撤去か、少なくとも南北の排水門の開放が必要だ」と主張。国は「漁場の悪化は、ほかの環境要因の影響が考えられ、閉め切りとは無関係」と反論していた。
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訴状によると、97年に諫早湾の湾奥部を全長約7キロの堤防で閉め切ったため、潮流が弱まり赤潮が発生するなど有明海全体の環境が悪化し深刻な不漁となった。
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