殴った相手に反撃され、さらに殴り返した場合、殴り返した行為が正当防衛に当たるかが争われた傷害事件の上告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は、「正当防衛には当たらない」と判断して被告の上告を棄却する決定をした。決定は20日付。
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この論点での正当防衛の成否ついて、相手からの反撃を予測できなかった場合は正当防衛が成立する余地があるとされていた。今回の最高裁決定は、被告の不正行為が原因との場合、原則として正当防衛にはならないとの判断を初めて示した。
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上告していたのは、東京都三鷹市の派遣社員の男性被告(44)。被告を懲役6月、執行猶予3年とした2審東京高裁判決が確定する。1、2審判決によると、被告は05年11月、東京都府中市の路上で男性を素手で殴打。男性は立ち去った被告を約90メートル追跡して素手で反撃したため、被告が特殊警棒で殴り返して男性に怪我を負わせた。
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第2小法廷は、被告が殴られたのは先に手を出したせいだと認定。その上で男性の反撃が被告の暴行の程度を大きく越えるものではないと評価し、こうした状況下では被告の反撃は正当ではなかったと結論づけた。
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