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昨年の知財侵害物品の輸入差し止め件数が2万件を初突破

財務省は5日、平成19年の全国の税関における偽ブランド品等の知的財産侵害物品の差止状況をまとめた。それによると、差止件数が初めて2万件を超え過去最高となったことに加え、中国からの輸入が増加したことと医薬品の差止めが増加したことが平成19年の差止状況の特徴である。詳しくは、以下のとおり。
1.過去最高の差止件数・小口化の進展
・知的財産侵害物品の輸入差止件数は22,661件となり、前年と比較して15.7%増加し、初めて2万件を超えた。
・一方、差止点数は前年から微増(6.1%)にとどまり、一件あたりの平均差止点数は46点と、前年の平均点数の50点を下回り、知的財産侵害物品の輸入の小口化が進んでいることを示すものとなった。小口化が進んでいるのは、インターネッ
トによる注文を通じ、郵便物等により少量の偽ブランド品等を輸入する手口が多く用いられていることが背景にある。
・今回の調査により、税関で差し止められた知的財産侵害物品の総額について正規品価格を参考にして推計を行い、平成19年の知的財産侵害物品の総額は約385億円だった。
2.中国から輸入される知的財産侵害物品の増加
・知的財産侵害物品の中国からの輸入は、前年と比較して件数ベースで70.7%増、点数ベースで53.5%増と大幅に増加し、過去最大となった。全体に占める割合においても、件数ベースで71.7%、点数ベースで66.8%となった。
・中国からの輸入の増加は、米国及び欧州にも共通する傾向で、これは中国の輸出拡大に伴い、各国に輸出される知的財産侵害物品も増加したことが一つの要因となっていると考えられる。
・一方、韓国からの知的財産品侵害物品の輸入については、前年と比較して差止件数が48.1%減、差止点数が57.0%減と減少した。韓国からの輸入の減少は、韓国税関が仁川空港などにおいて輸出の取締りを強化していることも要因であると考えられる。
3.医薬品の差止めの増加
・差止点数を品目別に見ると、知的財産を侵害する医薬品約9万7千点が差し止められており、前年の約4千点から大幅に増加している。
・平成18年以降、複数の権利者から医薬品に関する輸入差止申立てを受理し取締りを強化したことが、医薬品の差止点数の大幅な増加につながった。
平成19年における知的財産侵害物品の詳細な差止状況は次のとおり。
(1)平成19年の税関における知的財産侵害物品の輸入差止件数は22,661件で、前年と比較して15.7%増加し、過去最高の件数となった。
(2)輸入差止点数については約104万点で、前年と比較して6.1%の増加となった。一件当たりの平均輸入差止点数は46点で、前年(50点)と比較して8%の減少であり、知的財産侵害物品の輸入の小口化が進んでいることを示している。
(3)小口化が進んでいるのは、インターネットによる注文を通じ、郵便物などにより少量の偽ブランド品等を輸入する手口が多く用いられていることが背景にある。
(4)平成19年には、知的財産侵害物品の輸出が初めて差し止められた。輸出差止件数は3件で、点数は481点であった。
 (注)差止件数は、知的財産侵害物品の差し止めのために執った手続の件数であり、差止点数は、税関で実際に差し止められた知的財産侵害物品の数である。
仕出国(地域)別輸入差止実績は次のとおり。
(1)輸入差止件数は、中国仕出しが16,116件(構成比71.1%)であり、次いで韓国仕出しが4,527件(構成比20.0%)、香港仕出しが735件(同3.2%)となった。前年と比較すると、中国仕出しが70.7%増加、香港仕出しが73.3%増加した一方で、韓国仕出しは48.1%減少した。
(2)輸入差止点数は、中国仕出しが約69万点で全体の66.8%を占め、次いで韓国仕出しが約17万点(構成比15.9%)、香港仕出しが約11万点(同10.4%)となった。前年と比較すると、中国仕出しが53.5%、香港仕出しが57.1%増加した一方で、韓国仕出しが57.0%減少した。
(3)中国からの輸入の増加は米国及び欧州にも共通する傾向であり、これは中国の輸出規模の拡大に伴い、各国に輸出される知的財産侵害物品も増加したことが一つの要因となっていると考えられる。また、インターネットを通じて注文される偽ブランド品の多くが中国から送付されていることも、我が国における中国仕出しの知的財産侵害物品の取締りの増加につながったものと考えられる。
(4)韓国から輸出された知的財産侵害物品の減少には、複数の要因が絡んでいると思われるが、韓国税関が仁川空港などにおいて、輸出の取締りを強化していることも大きな要因であると考えられる。
知的財産別輸入差止実績は次のとおり。
(1)輸入差止件数は、バッグ類などに付された著名ブランドなど商標権に係るものが22,447件で(構成比98.8%)であり、大きな割合を占めた。次いでキャラクターグッズやDVDなど著作権に係るものが214件(構成比0.9%)となった。前年と比較する
と、商標権は15.9%増加した。
(2)輸入差止点数は、商標権に係るものが約88万点(構成比84.5%)であり、次いで意匠権に係るものが約9万点(構成比8.7%)、著作権に係るものが約5万点(同4.9%)となった。前年と比較すると、意匠権が52.7%増加した一方で、特許権が69.1%、著作権が20.3%減少した。
 (注)1事案で複数の種類の知的財産に係るものは、それぞれの知的財産ごとに計上している。
品目別輸入差止実績は次のとおり。
(1)輸入差止件数は、ハンドバッグや財布などのバッグ類が16,959件と全体の59.6%を占め、次いでTシャツやジャケット、ズボンなどの衣類が2,656件(構成比9.3%)、キーケース類が2,476件(同8.7%)となった。前年と比較すると、衣類が23.0
%、靴類が24.0%増加した一方で、キーケース類が24.2%減少した。
(2)差止点数は、バッグ類が約26万点と全体の25.0%を占め、次いでファスナーや衣類用ひも止め具などの衣類付属品が約10万点(構成比9.8%)、医薬品が約10万点(同9.3%)となった。前年と比較すると、医薬品が2,192.7%、玩具類が256.5%増加した一方で、衣類が52.9%減少した。
(3)平成19年に税関が差し止めた知的財産侵害物品を品目別に見ると、医薬品の差止点数は約10万点であり、昨年の約4千点から大幅に増加した。医薬品については、平成18年以降、複数の権利者から医薬品に関する輸入差止申立てを受理し取締りを強化したことが、差止点数の大幅な増加につながった。
輸送形態別輸入差止実績は次のとおり。
(1)輸入差止件数は、郵便物が21,959件(構成比96.9%)、一般貨物が702件(同3.1%)となった。前年と比較すると、郵便物が15.3%、一般貨物が29.8%増加した。
(2)輸入差止点数は、一般貨物が約72万点(構成比69.2%)、郵便物が約32万点(同30.8%)となった。前年と比較すると、一般貨物が67.0%増加した一方で、郵便物は41.6%減少した。
(3)郵便物による知的財産侵害物品の輸入については、特定の住所から複数の受取人に向けて発送されていることが多く、輸出元に郵便物を利用して知的財産侵害物品をわが国に送付する業者が存在していることが推定される。
輸入差止価額は次のとおり。
(1)平成19年に税関において輸入が差し止められた知的財産侵害物品の総価額を正規品の価格を参考に推計したところ、約385億円となった。
(2)仕出国別では、中国仕出しの知的財産侵害物品が、約247億円(構成比64.1%)を占め、品目別では、バッグ類が約219億円(構成比56.9%)であった。
(3)わが国では、正規品価格の高いバッグや時計の模倣品の輸入が多く差し止められている。


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