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札幌市が監視カメラの設置・運用のルール作成

札幌市では、07年6月から11月まで全5回にわたって「札幌市防犯カメラの設置及び運用に関するルール策定検討委員会」を開き、「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」作成し、このほどホームページで公表した。このガイドラインは、監視カメラの設置及び運用に関し、事業者に配慮してもらう事項を定めることによって市民のプライバシーを保護するとともに、監視カメラに対する市民の不安感の解消を図り、もって防犯カメラの適正な設置及び運用を促進するために作成したもの。
ガイドライン作成の背景には、▽全国的にカメラに記録された画像が犯人逮捕の決め手となるケースが相次いでいる▽カメラが犯罪の未然防止や解決につながるということで多くの店舗などが設置している▽市民アンケートにより、大多数の市民はカメラの必要性は認めているものの、その約6割はプライバシー保護に関する懸念を抱き、画像の無断・不正使用などに不安感を抱く市民も約3割いる▽カメラの実態調査により、カメラを設置している事業者の半数以上が設置運用基準を設けていないことがわかった、ことなどがある。
そこで札幌市では、市民のプライバシーを保護するとともに、監視カメラに対する市民の不安感の解消を図り、もってカメラの設置及び運用の適正化を促進していくため、事業者等に配慮をお願いしたい事柄をまとめたガイドラインを作成した。
ガイドラインの要点は次のとおり。
1.ガイドラインの対象となるカメラ及び画像
 ガイドラインの対象となるカメラは、犯罪の予防を目的(犯罪の予防を副次的目的とする場合を含む)として不特定多数の者が利用する施設や場所に継続的に設置している画像記録機能を備えているカメラとする。また、画像とはカメラにより撮影し記録されたものであり、特定の個人を識別できるもの。
 以下の3つの要件すべてに該当するカメラ
ア.場所
(1)不特定多数の者が利用する施設や場所に継続的に設置するカメラ
道路、金融機関、スーパー、コンビニ、ゲームセンター、商店街、ホテル・旅館などに設置するカメラが対象。マンションなどの共同住宅については、このガイドラインの対象とならない。
なお、イベントなどで一時的に設置するカメラについても、このガイドラインの対象とはならないが、ガイドラインの目的に照らして慎重に取り扱う必要がある。
イ.目的
(2)犯罪の予防を目的として設置するカメラ
施設管理、事故防止、防火・防災という目的のカメラであっても、犯罪の予防を副次的目的として設置するのであれば、このガイドラインの対象となる。
ウ.装置
(3)画像記録機能を備えているカメラ
表示機能のみを備えるカメラ(モニター)については、このガイドラインの対象とはならないが、ガイドラインの目的に照らして慎重に取り扱う必要がある。
2.設置目的の明確化及び撮影の範囲について
カメラの設置が、目的の範囲を超えて行われた場合、市民の不安感や権利利益を侵害する恐れがある。このためカメラを設置する際には目的を明確にするとともに、撮影する範囲と設置する場所について十分検討し、その目的を達成するために必要な範囲に限って撮影するようにする。
3.管理及び運用の体制について
(1)カメラの設置者は、カメラ及び画像の適正な管理及び運用を図る。
(2)設置者は、必要があると判断する場合には、カメラ及び画像の適正な管理及び運用に係る管理責任者を指定する。この管理責任者とは、カメラ設置店舗の店長や警備責任者など防犯上必要な業務を適切に遂行できる地位にあり、カメラ及び画像の管理運用を行う者をいう。
(3)設置者、または管理責任者は必要があると判断する場合にはカメラの操作及び画像の取扱いを行う操作担当者を指定し、それ以外の者による操作及び取扱いを禁止する。「必要があると判断する場合」とは、設置者または管理責任者自らがカメラを管理及び運用することが困難な事情がある場合などをいう(24時間営業店舗の場合など)。
4.設置の表示について
設置者は、設置区域内の見やすい場所にカメラを設置していることをわかりやすく表示する。
(1)カメラごとに個別の設置表示を求めているものではない。
(2)見やすい場所の例:カメラの設置区域や建物、施設の出入り口など
(3)市民の安心感をより高めるために、設置者が誰なのかわかりにくい路上などにカメラを設置する場合には設置者もあわせて表示するといった配慮も必要。
5.画像の適正な管理について
記録媒体の小型化や記憶容量の増大、画像のデジタル化などが進んでおり、画像の持ち出しや複写が容易な状況になっていることから、カメラの設置者、管理責任者は個々の状況に応じて厳重な管理を行う。
(1)画像記録装置の設置場所:カメラの画像記録装置は、施錠可能な事務室内など一般の者が出入りできない場所に設置する。
(2)画像の保管:画像を記録した媒体は、施錠可能な事務室内、事務室内の施錠可能な保管庫内などで保管する。
(3)画像の保存期間:画像の保存期間は原則として1ヶ月以内とし、保存期間を経過した画像は、速やかに消去する。
6.画像の適正な利用について
画像には多数の市民の個人情報が含まれていることから、その取り扱いについては慎重を期すべきであり、画像の加工、知り得た情報の漏えい及び当該目的の範囲を超えた利用や提供をしてはならない。ただし、以下の5つの場合に限り、例外的に画像を目的以外に利用し、または提供することができる。なお、このような請求があった場合、設置者は、その妥当性を十分検討して対応する。
(1)法令に基づく手続により照会等を受けた場合
(例)裁判所からの文書提出命令(民訴法223)、弁護士会からの照会(弁護士法23の2-2)、裁判官が発行する令状に基づく場合など。
(2)捜査機関から犯罪捜査の目的により要請を受けた場合。ただし、捜査機関が画像の提出を求める場合は文書による。
※個人に関する情報であることから、提出にあたっては、より慎重を期すべきであり、提出先などの記録を明確に残しておけるよう文書(刑訴法197-2に基づく捜査関係事項照会書など)による依頼に基づくことが適当。
(3)個人の生命、身体または財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ない場合
 (例)行方不明者の安否確認、災害発生時に被害状況を情報提供する場合など。
(4)本人の同意がある場合
(5)本人の請求に基づき、本人に提供する場合
 また、1から5のいずれかに該当する場合、設置者は理由・日時・提供した相手先など管理上必要な事項を記録しておく。
7.苦情に対する迅速かつ適切な処理について
 市民から防犯カメラの設置などに関する苦情があった場合には、設置者は迅速かつ適切な処理をする。
8.設置基準の作成について
 カメラ及び画像の管理や運用の適正化をより促進していくためには、事業者の理解と協力が不可欠である。設置者は、それぞれの設置環境や利用形態にあわせて以上の1から6までの項目を盛り込んだ設置基準を作成し、管理責任者及び操作担当者に遵守させる。なお、カメラ及び画像の管理及び運用に関する業務を委託する場合にも受託者に当該設置基準を遵守させる。
なお、このガイドラインのパンフレットは、札幌市役所、区役所及びまちづくりセンターでも配布している。


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