千葉県松戸市で02年8月、マブチモーター会長(当時・社長)の馬渕隆一さん(75)の妻子2人が殺害、放火された現場が地域の防犯活動の拠点に生まれ変わる。馬渕会長が「安全な町をつくってほしい」と自宅跡地を市に寄贈した。施設を建設し、地域の防犯パトロールの拠点として活用する。
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事件では2容疑者が強盗殺人容疑などで逮捕され、いずれも千葉地裁で死刑判決を受けた。同社によると、昨年12月に1人目の死刑判決が出たことで「遺族として気持ちに区切りがついた」として、今年1月に跡地を更地にして寄贈した。
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跡地は松戸市常盤平6の高級住宅街の一画にあり、約500平方メートル。馬渕会長は寄贈前に敷地内の井戸も防火用水などに使えるよう改修した。当初、公園用地として使ってもらう予定だったが、市の警防ネットワーク事業が始まったことから、その拠点にしてもらうことにした。
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市は08年度に平屋の建物を建てて、パトロール活動をする時に使うのぼり旗や反射板付きのゼッケンなどを常備する。ボランティアたちが集う交流スペースとしても使用する予定。09年度からは防犯・防災業務を担当する市職員を常駐させ、住民ボランティアのパトロールの拠点にする計画を立てており、今月20日に地域住民にこうした計画を説明した。
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市は、昨年から学校や地域ごとの防犯活動を結びつけて子供たちを犯罪から守る「警防ネットワーク事業」を進めており、防犯ボランティアは現在市内で数千人が活動し、年間数百件の用具貸し出し実績があるという。施設は、警防ネットワーク初の活動拠点となる。
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マブチモーター社長宅放火殺人事件は、千葉県松戸市で02年8月、宅配業者を装った小田島鉄男(64)、守田克実(57)の両被告が馬渕さん方に押し入り、妻(当時66歳)と長女(同40歳)の首を絞めて殺害。貴金属10点(970万円 相当)を奪って放火して逃走した。両被告はその後、東京都目黒区の歯科医方(02年9月)及び千葉県我孫子市の金券ショップ社長方(02年11月)で強盗殺人事件を起こした。ともに死刑判決を受け控訴した。事件は被告2人のうち、守田克実被告の控訴審が29日、東京高裁で始まる。
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