横浜市では、救急車をタクシー代わりに使うなどの不要な救急搬送を減らすため虚偽の説明をした悪質な119番通報者に罰則を盛り込んだ条例を12月議会に提案する。
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条例では、通報を受けたときに患者の状態を聞き取って救急車の出動態勢を決める通報時のトリアージ(患者の選別)も導入する。いずれも全国初の試みで、市はこの2本柱で増え続ける救急出動の効率化を図り救命率向上を目指す。
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条例は、「横浜市救急条例」(仮称)。「うそをついて不正に救急車を利用する者」に対し、「関係法規の適用など必要な措置を講じる」としている。具体的には、虚偽通報者に30万円以下の罰金または拘留を定めている消防法44条を適用すること になる。
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同市では、これまで119番通報に関して同法の罰則適用を求めたことはなかった。条例化で罰則の根拠を明確にして市民に知ってもらい、市としても通報内容を事後検証し、同法を積極的に適用する。
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通報時のトリアージは、119番通報を受けた司令センター職員が会話できるかや呼吸・意識はあるか、外傷など約20項目を通報者から聞き取ってパソコンに入力。自動判定システムで判定し、緊急度の高い順に患者を「高」「中」「低」の3段階に分け、各消防署に自動的に伝える。
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これまでは通報があれば、一律1台隊員3人を出動させていた。今後は緊急度が高いと判定されれば、少しでも早く到着する車両があるようにと救急車や小型車両など3台、隊員も最大9人を現場に向かわせる。現場では、心肺蘇生や薬剤の投与など手厚い応急措置ができるようになる。
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緊急度が「中」程度だと2台計4人、「低」だと1台2人が出動する。10月からデータを検証し、早ければ来夏に実用化を目指す。
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横浜市によると、昨年の救急出動件数は15万5,317件で、10年前の1.5倍となっている。このうち軽症は6割近くを占めている。軽症者の対応で救急車が出払い、重症者への到着時間が遅れたケースが約2,000件あったという。
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