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非行防止、保護の両面で予断を許さず
~平成19年上半期の非行少年の情勢~

警察庁がこのほどまとめた平成19年上半期(1~6月期)における少年非行情勢を見ると、検挙人員は減ってはいるものの少年による社会の耳目を集める重大犯罪が起きており予断を許さない状況にあることが分った。今年上半期における少年非行情勢の概況は次のとおり。
第1 概要
今年上半期(1~6月)における少年非行情勢は、刑法犯少年の検挙人員が5年連続で減少し、前年同期に比較してすべての包括罪種で減少した。しかし、福島県での高校生による実母殺人事件など少年による社会の耳目を集める重大な事件が発生し、また児童虐待事件、児童ポルノ事件などの少年の犯罪被害が増加するなど少年の非行防止、保護の両面において予断を許さない状況にある。
1 検挙・補導人員の推移
(1) 刑法犯少年
今年上半期の刑法犯少年の検挙人員は4万6,901人(前年同期比6.2%減)となった。人口比については6.3(同0.3減)となり、成人(1.2)の5.3倍であった。また成人を含めた刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は26.9%で、前年同期を0.8ポイント下回り、上半期の記録の残る昭和54年以降最低となった。※刑法犯少年……刑法犯の罪を犯した犯罪少年をいい、本資料では犯行時及び処理時の年齢がともに14歳以上20歳未満の少年をいう。
(2) 特別法犯少年
今年上半期の特別法犯の送致人員は2,809人(前年同期比17.0%増)と増加した。※特別法犯少年……特別法犯の罪を犯した犯罪少年をいう。
(3) 触法少年(刑法)
今年上半期の触法少年(刑法)の補導人員は8,035人(前年同期比6.5%減)であった。※触法少年(刑法)……刑法犯の罪に触れる行為をした触法少年をいう。
(4) 触法少年(特別法)
今年上半期の触法少年(特別法)の補導人員は304人(前年同期比36.3%増)で6年連続で増加した。※触法少年(特別法)……特別法犯の罪に触れる行為をした触法少年をいう。
(5) 不良行為少年
平成19年上半期の不良行為少年の補導人員は、68万5,495人(前年同期比9.8%増)で、態様別では深夜はいかいが最も多かった。※不良行為少年……非行少年には該当しないが、飲酒、喫煙、けんかその他自己、または他人の徳性を害する行為をしている少年をいう。
2 少年非行の主な特徴
(1) 刑法犯少年
ア 凶悪犯
今年上半期の検挙人員は534人(前年同期比14.7%減)となった。罪種別では、放火(検挙人員48人、前年同期比4.3%増)、強姦(同61人、同35.6%増)は増加したが、殺人(同27人、同6.9%減)、強盗(同398人、同21.3%減)は減少した。
イ 粗暴犯
今上半期の検挙人員は4,482人(前年同期比2.7%減)で6年連続で減少した。罪種別では、傷害(検挙人員2,747人、前年同期比0.3%増)、暴行(同778人、同6.4%増)、凶器準備集合(同52人、同136.4%増)は増加したが、恐喝(同843人、同18.5%減)、脅迫(同62人、同24.4%減)は減少した。
ウ 知能犯
今年上半期の検挙人員は544人(前年同期比13.2%減)と減少した。
(2) 街頭犯罪
今年上半期の検挙人員は1万833人(前年同期比6.6%減)で成人を含めた総検挙人員に占める少年の割合は58.9%(同1.7ポイント増)であった。
ア 路上強盗
今年上半期の検挙人員は231人(前年同期比26.4%減)、成人を含めた総検挙人員に占める少年の割合は53.2%(同0.9ポイント減)と減少した。
イ ひったくり
今年上半期の検挙人員は420人(前年同期比5.4%減)と減少したが、成人を含めた総検挙人員に占める少年の割合は53.0%(同0.9ポイント増)と増加した。
ウ その他の街頭犯罪
その他の街頭犯罪では、部品ねらい(検挙人員470人、前年同期比16.8%減)、自動販売機ねらい(同329人、同19.4%減)、自動車盗(同351人、同20.2%減)、オートバイ盗(同3,256人、同3.0%減)、自転車盗(同5,504人、同5.5%減)は減少したが、車上ねらい(同272人、同11.0%増)は増加した。
(3) 刑法犯少年の再犯者
今年上半期の再犯者は1万4,736人(前年同期比5.0%減)と4年連続で減少した。再犯者の人口比は2.0(同増減なし)で成人(0.53)の3.8倍となった。
(4) 触法少年
今年上半期の補導人員は8,035人(前年同期比6.5%減)であった。凶悪犯の補導人員は81人(同23.6%減)と減少した。このうち放火が64人(同34.0%減)と凶悪犯補導人員の79.0%を占めている。
(5) 薬物事犯
ア 概況
法令別では、大麻取締法違反(送致人員85人、前年同期比13.3%増)、麻薬及び向精神薬取締法違反(同20人、同11.1%増)は増加したが、覚せい剤取締法違反(同131人、同13.8%減)、毒物及び劇物取締法違反(同425人、同15.5%減)は減少した。
イ 覚せい剤乱用少年
今年上半期の送致人員は131人で、そのうち中学生は1人(前年同期比83.3%減)、高校生は14人(同48.1%減)と、いずれも減少した。
ウ 麻薬など乱用少年
今年上半期の送致人員は20人で、そのうち15人はMDMAなど合成麻薬事犯であった。
3 少年の犯罪被害
(1) 総数
今年上半期の認知件数は13万9,427件(前年同期比0.9%増)であった。このうち、凶悪犯被害は656件(同4.2%減)、粗暴犯被害は7,571件(同5.5%減)は減少したが、窃盗犯被害は11万8,366件(同1.8%増)と増加した。
(2) 性犯罪被害
今年上半期の認知件数は2,264件(前年同期比4.6%減)であり、やや減少傾向にあるものの、依然として高い水準にある。内訳をみると、強姦被害が368件(同3.2%減)、強制わいせつ被害が1,896件(同4.9%減)と減少した。
(3) 学職別の被害
今年上半期は、未就学は262件(前年同期比7.8%増)、小学生は1万1,539件(同7.5%増)、中学生は2万8,650件(同2.7%増)、高校生は6万1,184件(同1.1%増)、大学生は1万6,006件(同1.7%増)といずれも増加したが、その他の学生は6,449件(同6.9%減)、有職少年は1万308件(同3.1%減)、無職少年は5,029件(同7.5%減)と減少した。このうち、小学生の刑法犯被害を罪種別にみると、凶悪犯被害は47件(同7.8%減)、粗暴犯被害は558件(同16.0%減)、性犯罪被害は383件(同0.8%減)と、いずれも減少した。しかし、窃盗犯被害は1万194件(同10.3%増)と増加した。
(4) 年齢層別被害
今年上半期は、いずれの年齢層も増加した。このうち13歳未満の刑法犯被害を罪種別にみると、凶悪犯被害は94件(同4.1%減)、粗暴犯被害は855件(同8.1%減)、子ども対象・暴力的性犯罪被害(13歳未満の少年が被害者となった強姦、強制わいせつ、強盗強姦(いずれも致死または致死傷及び未遂を含む)及びわいせつ目的略取誘拐(未遂を含む)は487件(同3.6%減)と減少したが、窃盗犯被害は1万3,577件(同10.0%増)、知能犯被害は12件(500.0%増)と増加した。
(5) 児童虐待事件
今年上半期の検挙件数は149件(前年同期比24.2%増)、検挙人員は164人(同25.2%増)、被害児童数は157人(同22.7%増)と、いずれも増加した。また死亡児童数は18人(同35.7%減)と減少した。
(6) 児童買春・児童ポルノ事件
今年上半期の送致件数は984件(前年同期比8.9%減)、送致人員は665人(同11.1%減)であった。このうち、児童買春事件の送致件数は718件(同16.1%減)、送致人員は503人(同16.9%減)と減少したが、児童ポルノ事件の送致件数は266件(同18.8%増)、送致人員は162人(同13.3%増)と増加した。児童買春事件の被害児童数は651人(同8.7%減)と減少したが、児童ポルノ事件の被害児童数は122人(同87.7%増)と増加した。
(7) 出会い系サイト規制法違反事件
インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制などに関する法律(いわゆる出会い系サイト規制法)違反の今年上半期の送致件数は39件(前年同期比105.3%増)、送致人員は37人(同105.6%増)と増加した。


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