警察庁は17日、07年版の警察白書を閣議に報告した。「暴力団の資金獲得活動との対決」と題した特集で、暴力団が覚せい剤密売などに加え、実体を隠して証券取引に介入するなど資金を得る方法を多様化していると分析し、「刑事責任の追及以外に、組織中枢へ経済的打撃を与え、組織維持を無意味化する制度の検討が必要」と資金源封じ込めのための新方策の必要性に言及している。
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白書は、昨年検挙された暴力団組員ら2万8,417人のうち、資金源につながるとみられる覚せい剤、恐喝、賭博、ノミ行為の4犯罪で約3割に当たる9,412人を占めた現状を示している。
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また、こうした伝統的な手段に加え、近年は暴力団と共生しようとする経済知識の豊富なグループと結びつき、証券市場を舞台にインサイダー取引や株価操縦などで資金獲得を図る動きも強まっていると指摘している。
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一方、昨年強盗や窃盗で検挙された暴力団組員らが、この10年でそれぞれ約3割増加したことに触れ、安易な手口で資金を得ようとする層も増えていることを示している。資金獲得の成否も分かれ、今年4月の暴力団幹部による長崎市長射殺事件を例に「資金に窮する暴力団が自暴自棄となって過激な行動に訴えている」と注意を促している。
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同庁は、建設業者3,000社を対象にしたアンケート結果(回収率60.2%)も公表したが、それによると33.8%が「暴力団と関係を持つ業者がいると聞いた」、14.4%が「暴力団に資金提供する業者がいると聞いた」と答え、根深い関係をうかがわせた。
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資金提供の趣旨は、トラブル解決59.5%、談合の維持・容認12.6%など。さらに全体の33.7%が「最近1年間に不当要求を受けた」と回答している。内訳は機関誌などの購読が44.6%、下請け参入が32.4%だった。
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