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増えるピッキングに「バンピング」の疑い

ひと頃猛威をふるったピッキングによる侵入盗が東京都内を中心に増えている。今、
これが「バンピング」という“古風にして新しい”手口を使って侵入しているのでは
ないかと見られている。
バンピングの一つの特徴は“無傷開錠”で、これはピッキングも同じ。侵入された形
跡がほとんど分らない。ピッキングによるものと見られているが、実際にはバンピン
グによるのではないかというのである。
“バンピングではないか”と疑うには理由がある。ピッキングによる侵入盗のあまり
の勢いに警察とロック業界が一体となって従来のディスクシリンダー錠からピンシリ
ンダー錠へと取替えを推進したことで02年に19,121件も大量発生した後以降は減り続
け、05年には2,171件にまで減った。
ところが今、東京都内においては06年からピッキングが増えている(警視庁)というの
である。つまり、ピンシリンダー錠を狙ったバンピングが跋扈し始めたと見られてい
るのである。
バンピングを懸念するロック業界の一部には、無傷開錠のせいもあって警察が気付い
ていないのではないか、または過去のピッキング騒動のときと同じように、目に見え
るような大騒動にならない限り腰を上げない“待ちの姿勢”でいるのではないかとい
う見方もある。
バンピングとは、鍵を使わずにシリンダー錠、特にピンシリンダー錠を特殊に作られ
た「バンプキー」を用いて開錠する手口である。
ピッキングが“最盛期”だった03年3月31日に発行された「鍵のカタログ(第3号)」
(全国防犯シリンダー普及会監修)には当時の防犯シリンダー錠30機種が掲載されてい
るが、ここにある22機種のピンシリンダー錠はバンプキーですべて開錠できるという
ロック業者がいる。今では急きょ改良されて開錠できないというものも1、2機種ある
が、ほとんどバンピングの対象になっているという。
警視庁のデータによれば、06年中の都内における侵入窃盗認知件数は17,325件、その
うち空き巣は10,347件で、空き巣の占める割合は59.7%となっている。侵入窃盗の場
所別発生状況をみると、住宅が69.4%を占めている。 その内訳は、一戸建て住宅
23.7%、中高層住宅(4階建て以上)16.1%、その他の住宅29.7%となっている。
空き巣の侵入手段としては、一戸建て住宅を対象とした侵入手段では、ガラス破りが
最も多く(68.2%)、次いで無締まり(18.1%)、その他(11.0%)、不明(0.3%)などと
なっている。
中高層住宅(4階建て以上)を対象とした侵入手段では、ガラス破りが最も多く(31.6
%)、次いで無締まり(20.1%)、サムターン回し(13.9%)、ピッキング(7.6%)、錠破
り(2.2%)、その他(24.1%、不明(0.4%)などである。大きな特徴として、ピッキン
グによる侵入が前年と比べて大きく増加(約2倍)していることがあげられている。
その他の住宅を対象とした侵入手段では、ガラス破りが最も多く(51.8%)、次いで無
締まり(22.5%)、ピッキング(6.1%)、サムターン回し(5.3%)、錠破り(1.8%)、そ
の他(12.5%、不明(0.1%)などである。大きな特徴として、ピッキングによる侵入が
前年と比べて大きく増加(約4倍)していることがあげられている。
この状況を受けて警視庁は、▽ピッキングに強いシリンダーにしてください▽サム
ターン回し対策をしてください▽防犯性能の高い建物部品の錠に取り替えてください
-と呼びかけているが、バンピングについては触れていない。
あるロック業者は、「防犯性能の高い建物部品の錠」、つまりCP錠と呼ばれるものに
ついて“安心するのはどうか‥”と疑問符をつけている。CP錠であっても現行のピン
シリンダーであればバンピングにたいしてまったく効果がないという。
防犯について“臭いものには蓋”では、得をするのは犯罪者であり、損をするのは一
般人である。現状を見ると、どうやら一部のロック業者や警察は、バンピングについ
て蓋をしているのではないかと思われる。
ピッキングが猛威を振るうことになった過去の手痛い経験を活かして“噂”の段階の
今こそ警察は、ピッキングかバンピングによるものかは区別しなくていいから“無傷
開錠”による侵入盗の件数を公表し、業界団体の日本ロック工業会はバンピング問題
の見解を述べるべきである。
また、ピッキングによる侵入盗を防ぐために「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する
法律」(03年9月1日施行。別名・ピッキング防止法)が作られたが、警察は、所持を禁
止する用具として同法律を改正して「バンプキー」の所持をも禁止すべきだろう。
☆バンプキーとは:シリンダー錠、特にピンシリンダー錠を開錠するために特殊加工
されたキー。製作が難しいという業者がいるが、レベルの問題。自社で作ったバンプ
キーで自社のピンシリンダー錠が開錠出来なかったとして自社のピンシリンダー錠は
安全だとしたメーカーがあるようだが、別のメーカーがそのバンプキーに少し手を加
えたら開錠出来たというケースもある。


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