今日は、“勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう”という「勤労感謝の日」。勤労を貴ぶ精神は大切だが、今や非正社員の増加など働く環境は激変している。生活の基盤が崩されつつある。
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バブル崩壊後、多くの企業はリストラを断行した。戦後日本の根幹をつくってきた終身雇用制は大きく揺らいだ。多くの労働者が雇用不安にさらされている。“いざなぎ景気を超えた”などと政府は得意顔だが、そう思っているのは一部の企業の経営者に過ぎないと思う。
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「勤労感謝の日」にあたり、問題点を提起したい。1つ目の問題点は非正社員が急増していることである。総務省の調べでは、01年から05年の間に正社員は約270万人も減り、逆にパートなどの非正社員はだいたい同数が増えている。雇われている人のほぼ3人に1人が非正社員である。非正社員は雇用が不安定なだけでなく、賃金も低い。正社員の約6割の水準とのデータもある。
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製造業などの現場では「偽装請負」が問題になっている。請負を装って実際は人材派遣会社がメーカーに労働者を送り込み、メーカー側の管理下で働かせる。労働者派遣法などに触れる行為である。企業の収益は伸びても、労働者の生活基盤が揺らぐ。労働組合には、非正社員の待遇改善や正社員化を求める役割がある。
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2つ目の問題点は、厚労省が一定の条件を満たした労働者に対して、「1日8時間、週40時間」の労働時間規制の撤廃を検討していることだ。労働強化にならないように、対象者に週休2日を義務付けることなども提案しているものの注意を要する。一度たがが外れれば、労働時間の超過などにつながる恐れがある。
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暮らしの拠点は働くことによってつくられる。今、この点が揺らいでいる。「勤労感謝の日」という祝日が、なんとも空しい。「勤労感謝の日」を祝えない人が多くいる。社会全体に犯罪や自殺などのゆがみが一層広がるだろう。
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労働組合は今、改めて自らの役割を見直し、企業や政府に対する発言力を高める必要がある。政府は労働者の生活と健康を保障する義務があることを思い出して欲しい。
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