来日外国人や暴力団による組織犯罪が急増していることに対処して、東京地検は9月8日付で公安部の検事を倍増させ、組織犯罪の摘発に本腰を入れることになった。従来の公安事件に加え、近年急増している犯罪集団による強盗や窃盗、薬物密売などを専門に扱う部署に一新させる。組織犯罪の捜査に欠かせないノウハウや情報の蓄積を図っていくのが狙い。法務・検察当局では、同地検の取り組みが成果を上げれば、他の地検でも順次、同様の組織改編を進めていく方針である。 |
このところ、数10人の偽造団による和歌山県のカード詐欺事件や北朝鮮の貨客船「万景峰92」号による覚せい剤密輸疑惑など犯罪グループや外国人が絡んだ問題が相次いで表面化しているが、プロの犯罪者集団によって繰り返される犯罪の撲滅にはグループの抜本的な解体や余罪追及が不可欠だが、仲間の報復を恐れた容疑者からなかなか供述が得られないなど、捜査には困難が伴っている。また、外国人が関係し、犯人が海外逃亡することが多いほか、国際テロ集団の関与が疑われるケースもある。 |
東京地検では、今年4月現在、刑事部に63人、公安部に12人の検事が在籍しているが、来月8日付の組織改編で、刑事部の10数人の検事を公安部に異動させる。その上で、新生公安部は、警視庁が今年4月に新設した「組織犯罪対策部」の摘発事件を主として引き受ける方針である。かつて刑事部が担当していた窃盗や薬物事件であっても、犯罪に組織性が認められたり、外国人が集団で関与しているものについては、公安部の専門家が扱うことになるという。 |