OKI(沖電気工業)は14日、監視市場向けに機能を強化した組込用顔認識ミドルウェア(注1:OS上で動作しアプリケーションソフトに対してOSよりも具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトをつなぐ性格のもの)の新商品「FSE(Face Sensing Engine)Ver.4(以下 FSE Ver.4)」を14日より販売開始すると発表した。監視映像のように高い位置に設置されたカメラ映像にも対応できるよう顔検出、個人識別機能を大幅に強化したほか、今後、発売予定の人物追跡機能を提供する組込用映像認識モジュールとの連携により、一度顔認識した人物の顔が見えなくても同一人物として追跡することが可能になるという。販売価格はオープン。
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「FSE」はこれまで携帯電話のログイン認証、デジタルカメラの顔認識オートフォーカス、携帯ゲーム機用ソフトウェア、携帯電話向けコンテンツサービスなど様々な市場で採用されてきたが、「FSE Ver.4」では、さらに監 視市場向けソリューションも提供していく。例えば、近年普及しつつある監視用ネットワークカメラ(注2:ネットワークに接続し映像を遠隔地に送信できるデジタルビデオカメラ。監視カメラなどとして用いられる)内部で顔認識を行うことにより、顔が写っている映像だけの配信や顔画像のみの伝送によりネットワーク負荷が軽減できる。また、人物追跡機能を連携させることにより、認識した人物の行動監視も可能となる。さらに、監視映像などの保存に用いられるデジタルレコーダに適用することで、保存容量の削減や不審人物の検索も可能となる。
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「FSE Ver.4」は、従来のFSEに対して主に以下の2つの点について監視市場向けに機能が強化されている。 (1)監視市場向け基本機能強化 顔向きへの対応性能を強化し高い位置に設置された監視カメラの映像でも顔検出、個人識別が行えるようになった。また、斜め方向への顔向きの変化にもより広く対応できるようになった。さらに顔検出方式の改良により従来よりも高速で顔検出が可能になった。
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(2)拡張性を考慮した新しいAPIの追加 「FSE Ver.4」では、従来のAPI(注3:ライブラリなどの機能をアプリケーションから容易に利用できるように用意された、命令や関数、手続きの規約の集合)の他に拡張性を考慮した新たなAPIを用意した。本APIを用いることで監視市場向けの強化機能が使用可能になるほか、今後、発売予定の組込用映像認識モジュール群との連携も可能となり、カメラ内部での顔認識を中心にした映像監視ソリューションの構築に利用できる。
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この他にも、個人識別精度の向上、抽出可能な特徴点(注4:画像上での目や口、顔の輪郭など特定部位の位置を示す点。この特徴点の動きを検知することにより、顔の各部位の状態や動きを知ることが可能となる)の増加など基本性能の向上も行っている。
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同社は、これらの機能強化を行った「FSE Ver.4」により、監視市場のお客様の要望にも対応し、今後も携帯電話やデジタルカメラにおける利用拡大はもちろん、監視市場にも幅広く提案していくとしている。人物追跡機能を提供する組込用映像認識モジュールは今年度中頃に発売する予定。
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なお、今月22日~24日、東京ビッグサイトで開催される「ワイヤレスジャパン2008」の同社ブース(No.B-313)に「FSE Ver.4」を利用したデモを展示する。
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