日立製作所は3日、指の静脈パターンを用いて個人を認証する指静脈認証装置の大幅な小型化技術を開発し、この技術によって、容積19ml(39mm(奥行き)×34mm(幅)×15mm(高さ))という従来のものと比較して、容積20分の1(同社比)となる世界最小の指静脈認証装置を試作したと発表した。 |
指静脈認証技術は、指に光を透過させて指の静脈パターンを観察する生体認証技術で、97年から日立が開発を進め00年に基本的な技術を確立して、今日まで様々な改良を加えてきたもの。今回、下から光をあてる「下方照射方式」を新たに開発し、装置のフラット化を実現した。このため、ノートPCやPDAなどの携帯端末分野への内蔵が可能となり、従来以上に幅広い範囲で、指静脈による本人確認を行うことができるようになるという。 |
今年4月には個人情報保護法が施行され、企業や自治体などでは個人データ、機密に対する管理意識が高まり、指紋、虹彩、顔、静脈などの個人固有の特徴を用いた、より偽造されにくい個人認証の手段である生体認証が注目されている。 |
これまで日立では、これらの生体認証の中でも特に偽造されにくい特長を持つ、指の静脈パターンを利用した「指静脈認証技術」を独自に開発し、使い勝手のよい開放型装置の実現や、屋外でも利用可能な認証技術を開発し、指静脈認証技術は日立グループにおけるセキュリティ事業の中核技術としてATMなど金融機関での利用をはじめ、入退室管理、PCログインなどの幅広い分野に応用されている。 |
近年では、ノートPCやPDAなどの持ち運び可能な媒体でも大量かつ重要な情報を扱うことが可能となっていることから、紛失や盗難へのリスク対策も急務となっており、持ち運び可能な携帯機器にも搭載できるような小型の認証装置へのニーズが高まっている。 |
このような背景から今回、日立では従来のものと比較して、容積20分の1という小型の指静脈認証装置を開発したもの。 |
今回開発した指静脈認証装置の小型化技術の特長は次のとおり。 |
▽装置の高さを低くする下方照射型の光学方式 |
指静脈認証では、指の背面方向から光を当て、透過する光を測定することによって静脈パターンを観察する。しかし、光源を指の背面に配置すると指を上から覆うような厚みが必要となり、装置を薄くすることが困難だった。そこで、光源をカメラと同じ指の下側に配置し、下から光を指の先端と根元だけに入射する方式を考案した。これは指の中で散乱した光のうち、指の中央部を透過した光を集光し、静脈パターン画像を得る全く新しい光学系技術で、これにより装置のフラット化を実現した。 |