ICカードを使ったオフィス・セキュリティのスタンダードを目指す企業連合「SSFC(Shared Security Formats Cooperation」(事務局:大日本印刷株式会社)の参加企業12社(アート、アルファ、イトーキ、熊平製作所、コクヨ、コニカミノルタビジネステクノロジーズ、コニカミノルタテクノロジーセンター、タイテック、大日本印、高見沢サイバネティックス、富士ゼロックス、リコー)は、非接触ICカードを媒介にして、ドアゲートシステム、監視カメラ、プリンタ、オフィス家具を連携させた「オフィスセキュリティ・モデルシステム」を開発した。14日から開催された第7回自動認識総合展に参考出展している。 |
オフィスセキュリティ・モデル・システムの概要は次のとおり。 |
(1)ドアゲートシステム |
オフィスビル、ビル内の特定フロア、特定職場などの出入口にドアゲートシステムを設置し、正規の非接触ICカードをかざした場合のみロックが解除され、入退場が可能となる。許可されていない者の不正入退場を防止するとともに、個々の社員の入退場の履歴を厳密に管理する。 |
(2)ネットワークプリンタ |
ネットワークプリンタは、社員が作業を行うデスクから離れた場所に設置されていることが多く、出力物が放置されているケースがあるが、これを防止するためパソコンからプリントアウト指示を出した後、プリンタに接続された読取機に非接触ICカードをかざさないと出力されないようにする。 |
(3)オフィス家具 |
非接触ICカードをかざすことにより、ICカードに記録されている権限に従って、扉のロックが解除されるロッカー。 |
(4)監視カメラ |
上記システムからの指示により、画像の録画を開始する。この時、ICカードに記録された社員番号をインデックスとして付与し、画像を記録・管理します。画像の改ざんを防止するため、社員番号などの文字情報をスーバーインポーズし、画像の一部として記録管理する。これら(1)~(4)のセキュリティシステムは、すべて1枚の非接触ICカードで動作する。本モデルシステムでは、ゲート通過時、プリンタ利用時、ロッカー利用時に、社員の顔画像を監視カメラで撮影し、データベース化する。通常の監視カメラは、時系列で映像を記録するが、今回のモデルではICカードから読み取った社員番号をインデックスとしてデータベース化する。 |
これは情報漏洩が発生した場合などに社員個々の行動を追跡調査できるようにするためで、情報漏洩の原因特定を迅速に行うことができる。また、従業員が不正な行為を一切行っていないということを証明する際にも利用できる。 |
社員の行動履歴、特に職場への入退場管理を厳密に行うためには、共連れ(他者のICカードチェック時に複数の社員が同時入場すること)を防止する必要があるが、このため入場時、ドアゲートシステムの各種情報を非接触ICカードに書き込み、この情報が書き込まれていないとプリンタやロッカーが動作しない。 |
本年4月の個人情報保護法完全施行や相次ぐ個人情報漏洩事件を背景に、情報セキュリティに対する企業・自治体の関心は益々高まっている。現在、ICカードを使ってパソコンからの情報漏洩を防止するセキュリティ・ソフトウェア、ICカードを使ったドアゲートシステム、ICカードを使って出力を制限するプリンタなど多くの製品が販売されているが、従来、カード内部のデータフォーマットが各社で異なっていたため情報セキュリティに力を入れている企業の場合、複数のICカードを持たざるを得なかった。このため不便であるだけでなく、複数枚のICカードを所持することによるセキュリティ上の問題が生じていた。 |
SSFCは、ICカード内部のデータフォーマットの一部を共有化し、これに準拠して各社が製品を開発することによって1枚の社員証ICカードで入退室チェック、プリンタの制御、監視カメラとの連携、PCの起動制御などを行えるようにしようという企業連合である。これによって社員の利便性を高めるとともに、ゲートシステム、監視カメラ、パソコン、プリンタや複合機、オフィス家具など、メーカーにとらわれない相互運用性を確保しつつ、より高度なオフィス・セキュリティシステムを目指して製品開発を進められています。 |
現在、SSFCには、ゲートメーカー、監視カメラメーカー、システム開発会社、オフィス家具メーカー、プリンタ・複合機メーカーなど75社(9月14日現在)が参加している。今後、SSFC仕様に準拠したシステムが参加各社から順次販売される予定である。 |