ケーアンドエムエンタープライズ(本社:北九州市)が、画期的な次世代の映像監視システムといえる独自のKAM映像圧縮技術を採用したエンコーダーLsBoxを発売した。一般的な従来システムでは、監視カメラから同軸アナログ信号を送信し、監視センター側でエンコード処理し、その場でデジタル録画をしているが、LaBoxを使った本方式では監視カメラポイントに小型エンコーダー(LsBox)を設置し、ネットワークを介して複数の監視場所と結び、見る場所(監視センターなど)を固定化しないで、ネット上のどこからでもアクセスできる自由度のある監視システムが構築できるのが最大の特徴。使用するカメラは通常のアナログカメラでよく、Webカメラ(ネットワークカメラ)は使わないですむ。また、従来の同軸ケーブルを使用するシステムに比べ、LANケーブルを使用し、工事費用が大幅に削減できる。 |
映像や音声を遠隔地に送る場合、MPEG映像圧縮方式ではエンコーダーから強制的に決められたデータを送信するため、ネットワークの容量を超えると送り切れなくなりデータ欠損が生じる。このためWebカメラでは、通常1~2台のカメラ接続に留め、数十台のカメラ接続をする場合は、常に送信データ以上のネットワーク容量を確保する必要があり、専用回線を用いることになる。ところが、KAM方式では、クライアント側(表示パソコン)から映像データをリクエストする方式なので、データが届くまで待ち、一つの要求が完了するまで次の映像要求を出さないために、ネットワークがオーバーフローすることはなく、データ欠損が発生しない。 |
KAM映像圧縮技術の特長は、(1)リアルタイム性:圧縮、再生の遅延時間は100ms(MPEGの1/4以下)、(2)可変ビットレート方式:画像の内容により部分的に圧縮率を変化させ、全体の圧縮度を上げる(MPEG方式は固定ビットレート方式)、(3)3次元圧縮(差分伝送方式):基準画像との差分データだけを送り伝送データ量は小さくなる、などである。 |
LsBoxの特長は、(1)エンコーダ/デコーダの両機能を持っており、映像・音声とも双方向伝送が可能、(2)マルチキャスト・ユニキャストに対応、(3)PDAで映像・音声のモニタリングが可能、(4)ビューワソフトは6画面と30画面の標準ソフトが準備されているほか、SDK(ソフトウェア開発キット)によるカストマイズも可能など。 |
MPEG方式は小さいブロックデータから省略し、大きいブロックを綺麗に見せるが、KAM方式はこれとは逆で、小さなブロックデータは忠実に再現し、大きいブロックは簡略圧縮する。このため、細かく変化するタバコの煙なども鮮明に再現する。また、MPEG方式は動きの激しい映像は荒っぽく圧縮してぼかした映像になるが、KAM方式は映像は高画質のまま保持し、フレームレートを落とす。Webカメラの使用帯域が8~10Mbpsだが、KAM方式のLsBoxは0.6~3Mbps。このため、おおよそLANケーブル1本でWebカメラ5台に対し、LsBoxは30台の接続が可能(100Mbps回線)。 |
PC上の監視画面はSDK(ソフトウェア開発キット)を使用して、自由な画面構成を独自に開発することが出来る。PC表示画面上に映像と制御ボタンを配置して、ライトのON/OFFなど制御機能を付加したり、SDKを使用してオリジナルな監視・制御システムの構築が可能。カメラ1,000台くらいの大型監視システムも構築が可能。 |
同社では、LsBoxの機能を活かして次のような応用例を提案している。 |
(1)ビル監視の場合:昼間は現場管理室で監視業務をし、夜間はボタン一つで、防災センターに移動する。 (2)警備会社:遠隔でLsBox出力機能を使い、複数のビルのシャッター開閉を行うことが出来る。また、LsBoxの入力機能を使って発報信号を受信し、映像で確認することが出来る。このため人件費の削減が可能。 (3)泥棒の侵入時に:警備会社より遠隔操作で、任意のビルのライトを点け、音声で警告し、カメラコントロールで拡大映像を録画する。これらは瞬時の対応が出来る。 (4)マンション監視:夜間はセンター監視室に映像、音声、制御信号を移動し、一括監視することで住民の利便性と安心感がます。管理人は巡回時、センターに切り替えて対応でき、1人作業による管理人の孤独感も癒される。 (5)遭難事故発生時:雪山や大海原で1ピクセルにも満たない小さな人物などを探す場合、ネットワークで映像転送、解析をし、位置情報を現地に返すことで現地の操作効率を上げることが出来る(赤外線カメラを使用)。 |
LsBoxのその他の主な特長は次のとおり。 |
(1)エンコード、デコードの両機能があるので、NTSC出力端子に直接、テレビを接続することが可能。 (2)16個までのFAプログラムを埋め込むことが可能で、スタンドアロンで動作する。LsBoxの制御機能を使用し、遠隔制御する場合、ネットワーク切断を考えるとスタンドアロンは安全確保に必須。例えば、無人駅に設置した場合、回線障害時にFAプログラムが作動し自動的に予備回線に切り替わる。 (3)小型、軽量、低消費電力(8.4W)、密閉タイプ、FANレスで、可動部がない。音がないので、病院や老人介護施設など静寂さを要求されるところで使用できる。 (4)使用温度範囲は-10~+50度。屋外にも設置できる。 (5)映像の遅延時間が小型機器では世界最小。カメラ取り込みからPC表示まで150ms。 (6)入出力は各4点。外部機器のスイッチ操作に使用できる。 (7)カメラ制御のRS-232C端子がある(422、485タイプも用意)。 (8)メンテナンスやバージンアップはネットワーク上から行える。 (9)JPEGを切り出せる(静止画)。録画映像からJPEGを切り出し、警察などへの提出資料として使える。 (10)その他:時計合わせ機能、音声センサー機能、映像センサー機能、メール配信機能、ソフトリモコン機能、制御信号転送機能、映像音声マルチキャスト・ユニキャスト機能、特殊圧縮機能、ライセンス機能、セキュリティコード機能、カメラマスキング機能、プリ録画機能、シーケンス機能、帯域制限機能、インポーズ機能、自動リブート機能、ポート番号変更機能などを搭載。 |
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