ニッパツ(横浜市)とクラレ(東京都千代田区)は21日、共同でブランドネームや品質表示用に縫い付け、真偽判別が容易で偽造防止効果の高い繊維ラベル(以下、ラベル)をこのほど開発、発売を開始したと発表した。この製品は3月22日から24日まで中国・北京市で開催される中国公安局主催の偽造防止製品展示会に出品される。用途は、ブランド保護・ニセモノ対策が必要な洋服、バッグ、靴、縫いぐるみなどの衣料・雑貨など。 |
主な特長は次のとおり。 |
(1)高セキュリティ ラベルにAMFS(ポリアリレート系高機能繊維のマルチフィラメント)を織り込むことで高セキュリティを実現。アルタテックス(ALTATTEX:ALT(=alternative:二者択一)+at+TEX(=textile:繊維)をつないだ「二者択一の繊維」を意味する造語)は新開発素材であるAMFSを用いており、一般では入手困難なため耐偽造性が飛躍的に向上。 |
(2)専用ビュアによる手軽な真偽判別 専用ビュア(viewer、目視検査用具)を使ってラベルをのぞき込むと、AMFS部分の色の変化が確認でき、誰でも手軽に真偽の判別ができる。専用ビュアは安価で、またカードサイズのため持ち運びが容易、電源も不要で電池交換の手間もない。販売店に配布するなどすれば広範囲にわたる真偽判別、ニセモノ取り締まりができる。 従来からあるセキュリティをねらった「紫外線発光ラベル」は、真偽判定にUV(紫外線)ランプが必要であり、また「マイクロ加工ラベル」はルーペを用いた細部チェックが必要とされる。 |
(3)カバート・セキュリティが可能 AMFSをラベルの裏側など目に触れない部分に織り込むことにより、カバート(隠された)セキュリティの形態もとれる。 |
(4)特殊インクとの組み合わせも可能 海外で紙幣の偽造防止に使われている特殊インクを刷り込んだラベルも製作でき、セキュリティの多重化、更なる強化もはかれる。 |
(5)コスト ラベルの製作には特殊な加工機を必要とせず、従来の設備をそのまま使えるため低コスト。ニッパツは、01年に偽造防止シール「トラストグラム」を開発・量産化し、広い分野でブランド品のニセモノ対策で威力を発揮しており、特にビュアによる真偽判別の手軽さが好評で、最近は顧客から貼り付けるシールではなく、ブランド品に直接縫い付けるラベルがほしいとのニーズが高まってきた。そこでニッパツはクラレと共同でアルタテックスを開発、ラベルを試作し洗濯試験や耐光性試験などの評価を重ねて実用性を確認した。 |
両社の役割分担は、クラレがニッパツにAMFSを供給し、ニッパツがアルタテックスとして製品化、販売する。売上目標は、国内外の著名ブランド品への適用により初年度売上高3億円を目指す。 |