東芝は17日、SD(セキュア・デジタル)カードの持つ著作権保護の機能を利用してSDカードに記憶させた「鍵」と、対応するビューワソフトを組み合わせることで、音楽や映像、書籍といったデジタルコンテンツを、違法コピーから守り、安全に流通させることができる、新しいDRM(Digital Rights Management)システムを開発したと発表した。 同社は今後、コンテンツ配信事業者向けに商品化を進め、「著作権の保護」と「ユーザーの利便性」を同時に満たすシステムとして提供することで、良質なデジタルコンテンツの流通の促進と市場の拡大を図っていくとしている。 |
今回同社が開発したDRMシステムの技術的な特長は、SDカードの持つ著作権保護機能と、1枚毎に固有な識別番号(ID)を利用して、コンテンツを開くための「鍵(権利)」そのものを暗号化した安全な「鍵」を作成することと、この「鍵」とコンテンツ自体を切り離して配布することにある。これにより、コンテンツのユーザーへの配布は、CDやDVDの送付や、インターネットによるダウンロード、超流通システム*など、どのような方法をとることも可能となり、コンテンツの配信を行なう事業者と、コンテンツを購入するユーザーの双方にとって利便性が向上する。 |
また、従来は個人の認証をPCやPDAといった情報機器それぞれが持つ固有のIDに依存していたため、認証された機器でしかコンテンツの利用ができなかったが、本システムでは個人の認証にSDカードに保存された「鍵」を使うので、ユーザーは「鍵」を保存したSDカードさえあれば、購入したコンテンツを複数の情報機器で利用することができる。 |
このシステムでは、暗号化されたコンテンツと、やはり暗号化された「鍵」が揃うことではじめて、コンテンツを解読展開して閲覧が可能になるという仕組みとなっており、配布されるコンテンツ自体をコピーしても「鍵」が無ければ利用することができない。コンテンツ自体は超流通システム*の拡張として、個人と個人による配布も可能である。また、SDカードに記憶させる「鍵」も、SDカード1枚ごとの固有の識別番号(ID)に関連付けて暗号化するので、もし「鍵」の情報をコピーしたとしても、SDカードそのものが無ければ「鍵」として機能せず、やはりコンテンツを利用することができない。 |
*超流通システム: デジタルコンテンツの特長である流通や複製の容易さを活かして、暗号化されたコンテンツなどを自由に流通させた上で、実際の利用に際して課金するシステム。 |
デジタルコンテンツ市場は、過去に予想されていたほどには拡大していないが、これには、強固な著作権保護システムの副作用としてユーザの利便性が抑えられ、結果として利用者が伸びないことと、著作権保護に不安があるために優良なコンテンツが供給されず、利用者が伸びないことの2つの原因がある。 同社は、こうした状況を改革すべく、SDカードに記憶させた「鍵」を使うことで、音楽や映像、書籍といったデジタルコンテンツを、違法コピーから守り、インターネット上で安全に流通させることができる、新しいDRM(Digital RightsManagement)システムを開発したもの。 |